現場の生産性向上へ。小売業におけるマニュアル活用の方法とは (左)スタディスト 営業部 塚本剛之 マネージャー
(右) 光洋 デジタル推進室 吉岡隆富室長

「Teachme Biz」(ティーチミー・ビズ)というサービスがある。これは画像や動画を使った分かりやすいマニュアルを、誰でも簡単に作成・共有・管理運用できるもので、2010年設立のスタディストが提供するクラウドサービスだ。マニュアル活用による生産性向上を提唱する同社は、22年12月8日に「ヒトの生産性について考える1日」と題するカンファレンスを開催した。今回は同カンファレンスの中から、スーパーマーケット運営における従業員教育で成果を上げている、光洋の事例を紹介する。

イオングループの一員として
ブランドの異なる約80店舗をどう運営するか

 光洋は、関西を中心に約80店舗のスーパーマーケットを運営する企業だ。イオングループの一員として、KOHYO、ピーコックストア、MaxValu、計3ブランドの店舗を展開している。2017年には厚生労働省による「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」で最優良賞(厚生労働大臣賞)を受賞しており、従業員教育において高い評価を得ている。

 今回登壇した同社デジタル戦略推進室の吉岡隆富室長は、パートタイム社員向けの教育・キャリア制度を設計し、そのデジタル化も推し進めた。同社では、全社規模のマニュアルや資格検定ツールをデジタル化したことで、コストの削減や人時生産性(従業員1人が1時間当たり幾らの粗利益を上げているかを表す指標)向上に成功している。

現場の生産性向上へ。小売業におけるマニュアル活用の方法とは光洋 デジタル戦略推進室
吉岡隆富室長

 光洋が「Teacchme Biz」を導入したのは18年度からだ。07年にイオングループの一員となった同社は急激な規模の拡大により、現場での教育不足やブランドの異なる店舗間での考え方の違いによる不整合などの課題を抱えていた。

 そこで紙のマニュアルを作成していた教育訓練部を中心に、研修や部門別のマニュアルといった教育ツールのデジタル化を促進し、教育、研修の充実を図っていったのである。当時の従業員約7000人全員にアカウントを付与し、パソコンの他に各店舗のWindowsタブレットでも視聴できるように整備した。

 厚労省から表彰を受け、生産性向上も実現した同社の従業員教育の本質は何か。次ページからは導入当時から現在までの運営の背景と具体例を紹介する。