「製品としては、インク吐出時に熱を使わないエプソン独自のHeat-Free Technologyを備えた『WorkForce Enterprise<LM>シリーズ』などのオフィス向けインクジェット複合機/プリンターがあります。従来のレーザープリンターをこれらインクジェットに置き換えることで導入企業は、低消費電力化を推進し、オフィスの中からCO2排出量を削減できます。このようなアプローチが『お客様のもとでの環境負荷低減』です」
オフィスにはほかに、使用済みの紙の廃棄問題がある。その対策は、使用済みの紙をこまかく砕いて繊維状態にまでするエプソン独自の「ドライファイバーテクノロジー」技術を搭載した乾式オフィス製紙機『ペーパーラボ』で可能だ。
同機を使用すれば機密漏洩を防ぎつつ、有限の資源である水をほとんど使わずに、使用済みの紙からその場で新たな紙を作ることができる。これにより再生紙による『資源循環』が可能になるというわけだ。
当然『ペーパーラボ』の導入は、『お客様のもとでの環境負荷低減』につながっていく。近年この技術は、コットン衣類の縫製過程で発生する端材を原料としてアップサイクルした、新たな包装材の実用化にも成功したという。
「『環境技術開発』においては、上記技術の他に、金属粉末事業を展開するエプソンアトミックスで、半導体製造時に使われたシリコンウエハーを、金属粉末原料へ再資源化して再利用する取り組みを進めています。また、不要となったその他金属についても、金属粉末製品の原料へと再資源化できるよう、技術開発・投資を行っていきます。
これらの技術により、地下資源消費を削減し持続可能な循環型社会の実現に貢献していきます」
次代に遺す、環境負荷を低減した循環型経済の構築
環境課題への施策を続々と打っているエプソン。ただ小川氏はサステナビリティ経営には、ビジネスとしての成長も欠かせないと指摘する。
「地下資源などの過剰な消費やCO2の大量排出により、環境の収支バランスが崩れ、環境破壊が起きています。こうしたバランスを失った経済・社会をそのまま、次世代に託すわけにはいきません」
再生可能エネルギー活用、原料リサイクル、環境配慮型工場、商品の小型軽量化や再生材活用による資源の有効活用、商品の低消費電力化や長寿命化、生産装置の小型化などを実現するエプソンの施策はすべて、次世代に託すべき“環境負荷の少ない循環型経済”を目指す取り組みだ。
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小川氏は、そうした循環型経済を構築する牽引役となり、産業構造を革新し、社会的責任を遂行し、人々の生活の質向上・こころの豊かさにつなげていきたいと強調する。
「そうした貢献を持続可能にするには、ビジネスとしての成長を維持することは必須です。そのために必要なのは、環境へダメージを与えずにビジネスとして成立させる新たなイノベーションです。私たちのコアテクノロジーを進化させるとともに、志を同じくするパートナーとの共創も進め、次世代に安心して託せるサステナブルでこころ豊かな社会を実現するために、エプソンはこれからも進み続けます」
セイコーエプソン株式会社
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