一方、責任施工方式は工事業者に監理も一緒に任せる方式だ。管理会社を通して工事を行う場合も、実質的にはこの方式になることが多い。分離方式のように監理のための費用は掛からないが、どこまでチェック機能が働くかやや不安がある。
いずれにしろ、大規模修繕工事のよしあしは、その後のマンションの居住性や資産価値、安全を大きく左右するものなので、ぜひとも慎重に行いたい。
なお、大規模修繕工事を行うには、管理組合の総会決議が必要となる。かつては4分の3以上の賛成が必要かどうか議論があったが、その後、区分所有法が改正され、「形状または効用の著しい変更を伴わないもの」は、過半数でよいことになっている。
居住性や資産価値を上げる
「バリューアップ工事」
これからの時代、大規模修繕工事の際には、「改修工事(バリューアップ工事)」もぜひ検討したい。
通常の大規模修繕工事が、建物や設備を分譲当初の状態に戻すことを目的とするのに対し、「バリューアップ工事」は居住性や資産価値をより高めることを目的とする。大規模修繕工事の費用に多少プラスしたり、将来の工事費を節約することで回収できたりするのであれば、十分検討に値するだろう。
たとえば、マンションの外壁仕上げの一種に「吹き付けタイル」がある。これはセラミックなどを混ぜた塗材を外壁に吹き付けて仕上げるもので、本物のタイルとはまったく異なる。工事費が安く、建物の重量も軽くできることなどから、20年ほど前までは多くのマンションで用いられていた。
しかし、吹き付けタイルは年月とともに汚れが付きやすく、通常10~15年程度で吹き付けのやり直しが必要になる。
現在、吹き付けタイルの上に、本物のタイルを貼る工法がある。特殊なネットを新たな下地として設け、そこに本物のタイルを固定していくものだ。大地震の際は下地のネットが躯体の揺れに対応するのでタイルの落下などの心配は少ない。また、外観上も高級感が増し、汚れも目立たず、資産価値のアップが期待できる。



