独創的な技術で、世界初や世界トップクラスの化学製品を数多く世に送り出している日本ゼオン。その製品用途は、電気自動車のリチウムイオン電池や医療器材など、私たちの生活に身近なものばかり。社会に役立つモノづくりで高収益を実現し、連続増配も更新中。

どんな会社?

世界トップクラスの化学製品を数多く開発

 創業は1950年。日本ゼオンは、業界初の化学製品を数多く世に送り出してきたことで知られる。59年に製造を開始した日本初の合成ゴムもその1つだ。

 一般に、合成ゴムはタイヤの材料として用いられることが多いが、同社が世界トップクラスのシェアを誇る「特殊合成ゴム」は、耐熱性、耐油性が高く、自動車のエンジン周りのホースやベルト、ガスケットなどに使用されている。

 また、製品をつくるだけでなく、その元となる原材料を抽出する方法まで生み出したのも強みだ。

 60年代から70年代にかけて、原油から抽出されるナフサ由来の成分を蒸留し、高純度のブタジエンやイソプレンなどと呼ばれる有効成分を抽出する独自の技術を確立。これによって、さまざまな製品の原材料を自社工場で調達できるようになり、供給の安定や、多様な新製品を研究開発できる環境が整った。その強みを生かして90年代に生み出したのが、現在、同社の主力製品となっている特殊プラスチック「シクロオレフィンポリマー(COP)」である。

 優れた光学的性質を持つCOPは、スマートフォンのカメラレンズやレーザービームプリンターに内蔵されるFθレンズなどの材料として使用されている。COPを自社で加工した大型液晶ディスプレー向けの「位相差フィルム」と呼ばれる光学フィルムは、大画面サイズで圧倒的なシェアを占める。

 さらに現在、急成長をみせているのが、電気自動車(EV)などに搭載されるリチウムイオン電池用材料(以下、電池材料)だ。品揃えの1つである「負極用バインダー」も高いシェアを誇る。

top interview

優位性と差別化にこだわり
「利益」と「社会貢献」を両立させます

日本ゼオン 代表取締役社長
田中公章(たなか・きみあき)

 日本ゼオンは、国産初の合成ゴムや、優れた光学的性質を持つ特殊プラスチック「シクロオレフィンポリマー」など、優位性が高く、差別化が図られた製品づくりにこだわってきました。他社に真似のできない製品であれば、高い利益率を確保できるだけでなく、社会のニーズにも応えられると考えてきたからです。

 一般に、企業活動において「利益」と「社会貢献」は両立し難いものですが、オンリーワンの技術を徹底的に追求すれば、その2つを同時に叶えることができるという信念が、私たちのDNAに深く刻み込まれているのです。

 高い収益は次なる成長のための源泉となり、株主還元にもつながります。これからも連続増配を目指して努力を重ねてまいります。