何がスゴイの?
社会に貢献しながら高収益をあげ続ける
日本ゼオンは、常に世界初、世界トップ、世界随一の化学製品づくりを目指している。そのひたむきな探求心こそが成長の源泉だ。新しいことに果敢にチャレンジする同社の姿勢を象徴するのが、2015年に成功した「単層カーボンナノチューブ」の量産化である。
91年に日本の研究者が発見したカーボンナノチューブは、軽量・高強度で、電気や熱の伝導率が高い材料であることが注目された。
特に同社が量産化に成功した単層カーボンナノチューブは、表面積が大きく、長尺、高純度といった特性を備えており、エネルギーやエレクトロニクスなど、幅広い分野への展開が期待されている。本格的な活用はまだこれからだが、次の時代を見据えて技術を磨き、さらなる成長を目指そうとしている点に、日本ゼオンの強さがある。
一方で同社は、既存の製品の新たな用途を広げることにも積極的だ。例えば、日本ゼオンのCOPは、注射器のシリンジ(注射筒)や薬瓶、輸液バッグなど、医療器材の材料としても用いられているが、昨年以降、遺伝子解析や創薬用などに活用されるCOP製デバイスを製造販売する米国メーカーを買収するなど、バイオテクノロジー・生化学分析分野への本格的な参入を狙っている。
こうした独自の技術によるオンリーワンの製品は、利益率だけでなく社会的なニーズも高い。社会に貢献しながら高収益をあげられるビジネスモデルを確立していることも成長の支えとなっている。