耐震化アドバイザーとして
管理組合をサポート
同社は大規模団地を含む9物件のマンションの建替え実績があり、サポートした区分所有者の数は1000世帯以上に上る。それらの実績と阪神・淡路大震災で学んだ経験を生かせることから、2018年に東京都の「耐震化アドバイザー」の認定を受けている。耐震化アドバイザーとは、マンション管理組合からの耐震に関する相談に応じて、東京都が専門家を無料で派遣するというもの。そのため、東京都防災・建築まちづくりセンターとの連携で、マンション再生検討初期段階の管理組合からの相談も受けるようになっている。
首都圏における第1号案件は、千代田区一番町にある「メゾン一番町」のマンション建替えである。借地権付き物件を所有権マンションに建て替えるという難易度の高い事業だったが、権利者(区分所有者)と地主の双方の合意を取るために丁寧な説明を実施、売買契約が締結しやすい等価交換方式を採用して、22年3月に竣工した。
権利者の“心を開く”対応で
建替え決議を成立
マンション建替えで最もハードルが高いとされる合意形成に関して、同社では権利者に寄り添った分かりやすい説明と丁寧な対応を重視している。それと並行して、法律的な課題を行政と交渉しながらタイミング良くまとめていくことにも手腕を発揮する。
例えば、現在進行中の「マンション京都白金台」(東京都港区)の建替え事例。1971年に竣工した、地上11階、総戸数65戸のマンションで、耐震性の不足に加えて設備配管の劣化・漏水など老朽化が進んでいた。修繕や改修では対処が困難であり、住民の安全を確保するために抜本的な解決が急務になっていた。
同社は18年に事業協力者に選定され、再生手法としてマンション建替え円滑化法を活用。建替えの早期実現に向けて権利者と協働しながら、港区の容積率緩和特例制度や絶対高さ制限の緩和の特例を適切に活用し、高さ60メートル超のマンションへの再生を図った。