スマートフォンやパソコンで、どこにいてもラジオが楽しめるサービスを提供するインターネットラジオのradiko(ラジコ)。サービス開始から13年目を迎えた2023年1月、スマートフォンアプリを全面リニューアルしたが、その開発を新しい手法で行うことで、組織変革も成し遂げられたという。そして、その背景には「ビジネスを動かすプロダクトを。」という理念を持つGNUS(ヌース)の支援があった。
スマートフォンアプリを全面リニューアル
全国の民放ラジオ全99局と、NHK(ラジオ第1・NHK-FM)、放送大学の地上波放送がスマートフォンやパソコンで聴けるインターネットラジオのradiko。2010年3月のサービス開始以来、リスナー数は着実に増加し、現在の月間平均利用者数はおよそ850万~900万人に上る。
オンエア中のラジオ番組を無料で楽しめるほか、過去7日間までさかのぼって番組が聴ける「タイムフリー」(無料)、全国のあらゆる地域の番組を聴くことができる「エリアフリー」(有料)などのサービスも展開。
18年からは、全国各地の放送局から差し替え可能な広告枠を取得し、リスナーの属性や位置情報、興味関心などに応じた音声広告を配信する「radikoオーディオアド」というデジタル広告商品も提供している。
そのradikoが23年1月30日、スマートフォンアプリの全面リニューアルを実施した。ホーム画面のデザインが大きく変わっただけでなく、「おすすめの番組」「急上昇」「人気番組」や、さまざまなテーマに沿ってタグ付けされた「#気分転換におすすめ」「#音楽との出会いが楽しめる」などの番組を表示。ジャンルごとの番組検索もしやすくなった。
お気に入りの番組は、聴き逃さないように通知する機能を設けるなど、リスナーに寄り添ったUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)を追求している。
リニューアルの狙いについて、「若年層リスナーの取り込みと、ライトユーザーの継続率向上を目指しました」と説明するのは、radiko業務推進室次長ユーザーグロースチームリーダーでプロダクトオーナーの帆苅晃太氏である。
帆苅晃太氏
「radikoは幅広い年齢層の方々に楽しんでいただいていますが、中心層は40代から50代だったので、30代以下の世代の方々にも、もっとラジオの魅力に触れていただきたいと考えていました。また、お気に入りのミュージシャンやタレントの番組を聴くため、時々radikoを利用するといったライトユーザーの方々の月間継続率(2カ月連続で利用したユーザーの割合)が、なかなか上がらないことも、大きな課題でした。これらを解決するためには、ユーザーの興味・関心に応じたコンテンツを中心として、ユーザーの一人一人により良い体験が提供できるサービスにアップデートする必要があると考えたのです」(帆苅氏)
radikoは、これらの課題を解決するために、あえてアプリ開発を内製化するという困難な道を選ぶ。なぜそのような選択をしたのか、その決断がチームと社内カルチャーを変革させた経緯について、次ページから詳しく紹介していく。