国の目標である2050年のカーボンニュートラル実現に向け、多くの企業が業種ごとの特性や業容に応じた脱炭素化への取り組みを始めている。そうした活動を力強く支援しているのが、産業ガスのリーディングカンパニーである大陽日酸だ。脱炭素化のための製品やソリューションを提供するプロジェクトを積極的に展開している。

産業ガスのリーディングカンパニーである大陽日酸

産業ガスで培った技術力と広範なネットワークで、日本企業の脱炭素化を支援大陽日酸 工業ガスユニット
カーボンニュートラルビジネス
プロジェクト 第一チーム
藤田 公リーダー

 大陽日酸は、三菱ケミカルグループの産業ガス部門である日本酸素ホールディングス傘下の事業会社だ。日本酸素ホールディングスは、日本の他、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて産業ガス事業を展開。「THERMOS」(サーモス)ブランドで魔法びんを製造する事業も傘下に置く。このうち大陽日酸は、日本での産業ガス事業を担当している。

 産業ガスとは、エネルギーではなく、主に工業品の製造プロセスなどに用いられるガスのこと。製鉄の燃焼効率を高めるため、溶鉱炉に注入する酸素や、防爆のため石油タンクやパイプに充填する窒素、溶接や炭酸飲料の発泡用に使われる炭酸ガスなど、その種類は多岐にわたる。

 大陽日酸は、空気から分離される酸素、窒素、アルゴンの三つで国内シェア約40%、産業ガスのリーディングカンパニーだ。

「産業ガスの製造過程では、大量の電気を使用するため、間接的にGHG(温室効果ガス)が発生します。その削減のため、当社の親会社である日本酸素ホールディングスは2022年に始動した中期経営計画で、『サステナビリティ経営の推進』『カーボンニュートラル社会に向けた新事業の探求』などの重点戦略を掲げました」と語るのは、大陽日酸工業ガスユニットカーボンニュートラルビジネスプロジェクト第一チームの藤田公リーダーだ。

 サステナビリティ経営の推進によって、自社グループのGHG排出量を削減する一方、脱炭素化に寄与する製品やソリューションを開発することで、顧客企業の脱炭素化にも貢献しようというのが、その狙いである。