先進的取り組みで知られる桜丘。2021年度より高校4コースを新設、「個別指導」「絶対評価」を軸に、個性豊かなカリキュラムで機動力のある教育を実践している。近年は国公立大学の合格者が増え、進学実績も向上している。
髙橋知仁校長
学校教育の基本は一斉指導だが、桜丘では「個別指導」にも力を入れている。
「大学入試をはじめ社会自体が多様化する中で、従来型の一斉指導の学校教育には限界があると感じています。多様な価値観が重視される世の中だからこそ、個の多様性を大事にしていきたい。そのために学校は今、個別指導が求められていると思うのです」
そう語るのは髙橋知仁校長だ。2022年夏から「個別指導」の実践として、ユニークな「キャリアインタビュー」を実施している。IT大手のNECと連携したプログラムで、生徒がさまざまな業種の社会人と個別につながり、オンラインで進路相談ができるというものだ。
「生徒たちは、300人以上のリストの中から話を聞きたい人を選び、1対1で対話をします。知らない職業の方の話をマンツーマンで聞くことで、生徒たちは視野と興味の幅を大きく広げます。社会で活躍する方々が、学生時代にどんな勉強をしていたのか、社会に出てどんな成功や失敗をしたのか。リアルな話を聞くことで、これからの社会と自分の未来を考える貴重な個別体験になっています」。そう話すのは広報戦略室の中野優教諭だ。
髙橋校長が掲げるもう一つの目標は、生徒たちには「相対評価」ではなく「絶対評価」で成長を実感してほしいということ。「思春期に“自分軸”を持つことは難しく、周囲との比較で自己評価をしてしまいがちです。不安定な相対評価ではなく、過去の自分と比較する絶対評価で“できることが増えて成長した”と実感してほしい」と話す。
そのため23年度から“英検全員受験”をスタートする。検定試験は「本気で取り組んでも失敗して傷つくのが怖い」という心情が優先する。だが現在、大学入試では英検の合格・不合格ではなく、4技能のトータルスコア評価が主流。不合格で傷つく必要はもはやなく、前回スコアより1技能でもスコアがアップすれば成長を実感できる。
「大学入試にも直結する英検への指導を通じて、自分自身の可能性に対する自己肯定感を育みたい」と髙橋校長は期待を語る。