豊かな人間性を育む
「文化体験」
グローバル教育と並んで八雲が大切にしているのは、「文化体験」。多様な文化を学ぶことで教養を深め、グローバルな視野を育てていくことが狙いだ。総合的な学習の一環として月1回「文化体験の日」を設け、美術や演劇、ミュージカルや博物館など、さまざまな場所に出掛けて文化や歴史を探究する。本物を見ることで生徒たちは感性を養っていく。
「学校生活には楽しむ時間も必要で、今年5月の連休明けには、校舎の屋上で中1のためにバーベキュー大会を開きました。ホストは高3の生徒たち。教員が肉を焼いて中1に振る舞います。本校がこうした文化体験や学校行事を大切にしているのは、人との触れ合いを通じて豊かな人間性を育んでもらいたいと考えるから。学校生活の中で、時にはぶつかり合いながら、切磋琢磨して成長してもらいたいと考えています」(近藤理事長)
八雲のユニークな取り組みに、チューター制度がある。中学3年間、クラス担任とは別の教員が生徒一人一人に個別に付き、学習面でのアドバイスを中心に、日常生活の悩みや不安などの相談相手となる。生徒が抱える問題を早急に解決する上で、チューターはなくてはならない存在になっている。
八雲は18年に共学化に踏み切り、23年度は共学1期生が高3になって全学年が男女共学となった。女子校時代の良さを受け継ぎながら、共学校として新たな段階に入ったところだ。男子生徒には“ナイト”(騎士)の精神を持つ優しい生徒が多く、女子生徒にはリーダーシップを執る活発な生徒が多いという。男女が互いに理解を深め、尊重する文化が生まれている。部活動は女子校時代から盛んで、中でもバスケットボール部や空手道部は、全国大会の強豪校として名を知られている。
学校づくりにおいて“伝統と革新の確かな調和”を掲げる近藤理事長。グローバルな交流が再開して本来の活気を取り戻し、八雲学園は次のステージを見据えている。