NP掛け払いセールス統括 揚田大地氏
取引先の与信審査から、請求書発行、入金確認、未収金の督促・回収まで。これら一連の「企業間請求業務」は、稼いだキャッシュを確実に得るために欠かせない仕事だ。とはいえ、その業務負荷は重く、関わる部署も広範囲に及ぶ。「請求は経理の仕事」と捉えられがちだが、実は営業部門にも多大な負荷がかかり、売り上げアップの障害になっている。経営者やマネジメント層は、人手不足が深刻化する中、限られた人材の時間を奪う“成長のボトルネック”をどう解消すべきだろうか?
請求業務の合理化は、人手確保・維持と売り上げアップの両輪に生きる
人手が限られ、採用もままならない企業の経営者にとって、「利益を生まない管理部門をいかに少ない人数で業務処理できるようにするか」が重要テーマの一つであろう。だが、より多くの人材を営業部門に割り当てて売り上げを伸ばせば、その分、管理部門の業務負荷が重くなり、少人数では仕事が回せなくなるというジレンマに陥りやすい。象徴的なのが、経理部門による請求業務だ。
売り上げを伸ばすために営業が新規取引先を増やせば、発行する請求書の数も増えて経理の負担は重くなる。取引先ごとに請求書の記載事項は異なり、送付方法にも郵送、メールなどさまざまな指定があるので、量をこなすだけでなくきめ細かく対応しなければならない。取引先の数が多く、経理担当者が限られている会社の場合、月末の数日間は請求書発行だけで時間を取られてしまうといったケースも珍しくない。
だからといって、管理部門の人手を増やす余裕はない。営業などのフロントエンド業務により多くの人材を投入しなければ、肝心のキャッシュが稼げないからだ。ところが、実はその営業も企業間の請求業務に忙殺され、本業に費やすべき時間が大きく削られている。
企業間の請求業務のうち、経理が担当するのは請求書発行や入金確認の部分で、入金が確認できない場合、督促や回収は営業が担当するのが一般的。その件数は担当営業先の数に比例して多くなり、やはり月末・月初は、督促のための電話やメールに時間を取られることになる。
さらに、未収金の督促・回収は、心理的な負担が大きいことも厄介だ。「お客さま」の心証をいかに悪くせずに支払いに応じてもらえるようにするか、神経を使わざるを得ない。そうしたプレッシャーに耐えられず、部署異動を希望したり辞めてしまったりする営業職も少なくないようだ。
そう考えると、企業間請求業務の合理化は、人手不足の解消に役立つだけでなく、売り上げアップにもつながる施策であることが分かる。
では、どうやって企業間請求業務を合理化すればいいのか。その“秘訣”を、次ページから詳しく紹介する。