“箱”ではなく“機能”を追求、機能倉庫建設のブランド

 その強みを最大限に発揮するため、同社は17年に機能倉庫建設のブランド「RiSOKO」(リソウコ)を立ち上げた。

 これは、三和建設が得意とする冷蔵冷凍倉庫の他、危険物倉庫など機能倉庫の建設を包括するブランドで、文字通り、「お客さまにとって理想の倉庫(リソウコ)を提供する」という同社の強い思いが込められている。

 三和建設は、危険物倉庫の建設についても豊富な実績がある。

 危険物倉庫の大きさや仕様、導入できる設備などは消防法で制限されているが、その詳細の判断は管轄する消防によって決定される。その判断によっては、設計を大幅に見直さなければならないこともある。

「さまざまな危険物倉庫を手掛けてきた当社は、過去の事例を示しながら消防署と協議するので、法令を順守しつつ、お客さまの要望を最大限に反映した合理的な倉庫が建設できます」と松本本店次長。こうした専門性の高さが広く認知され、「危険物倉庫なら三和建設」との評価が定着しつつあるという。

 一方、冷蔵冷凍倉庫、特に食品や医薬品物流センターについては、「適正なスペックの倉庫を建設してくれる」という評判が高い。その理由は、建物だけでなく、ラックや搬送機器、管理システムに至るまで、トータルなプロデュースができるからだ。

危険物倉庫、冷蔵倉庫など高い専門性が要求される機能倉庫のエキスパート業務用食品総合商社・萬味(まんみ)ホールディングスの3温度帯食品物流センター。三和建設は、物流コンサル会社と、物流業務を効率的に管理するシステム・マテハン会社でチームをつくり、業務フロー改善点の抽出、ABC分析によるラック・商品の最適配置、将来伸ばしたい商品などを把握し、最適な保管量を決定。WMS(在庫管理システム)を提案し、作業効率と管理品質を高めた

「一般に冷蔵冷凍倉庫は、建物は建設会社が、内部に設置するラックや搬送機器などのレイアウトは別契約の専門会社が行うため、内部の設備に比べて建物が大きくなり過ぎたり、逆に小さくなってしまったりすることがあります。建物に余分なスペースが出ると、温度管理のためのコストが上がり、狭過ぎると搬送や入出荷の作業効率が悪くなります。その点、当社は物流エンジニアやマテハンメーカーなどとチームを組み、物流分析などまずは運用面からアプローチを行い、搬送機器の選定・ラックレイアウトなど、中のレイアウトを固めてから建物の大きさを決めるので、過不足のない冷蔵冷凍倉庫が出来上がるのです」と松本本店次長は説明する。