旅の目的や課題は何か、これまでの旅行&会議関連業務は全てBPOにつながっていた

「JTBは旅行会社というイメージがありますが、これまでも企業の課題を解決する付加価値の高い法人サービスを提供してきました。例えば、『旅行』という業務をこなす中でも、ただ旅行に行くための手配だけではなく、お客さまが“何の目的で旅行に行くのか”“どんな課題を解決したいのか”を強く意識しながら、その目的を達成するための最適なプログラムを提案させていただきます。つまり、私たちが今まで取り扱ってきた旅行業務も、実はBPO業務の積み重ねであったといえるのです」

 そう語るのは、JTBビジネスソリューション事業本部マーケティングチームの東原彩マーケティング担当マネージャーだ。

「旅行」に加えて、世界的なコンベンションや展示会などでは、案内状の発送やチラシの作成、ホームページの立ち上げはもちろん、参加者の動線を考えて会場の設営・運営を行い、受付業務からイベントの効果測定までトータルにサポートしてきた。「旅行」も「会議関連」も、顧客とコミュニケーションを密接に取りながら、当事者意識を持って課題を一緒に解決してきたのだ。

なぜ旅行大手のJTBが企業向けBPO受託に乗り出すのか。新たに提供を開始する「伴走型ビジネスアウトソーシング」の勝算JTB ビジネスソリューション事業本部 マーケティングチーム
東原 彩マーケティング担当マネージャー
「お客さまが傾注すべきところに傾注できるよう、私たちはその課題に寄り添ってサポートしていきます」(東原マーケティング担当マネージャー)

 また、JTBには富裕層やVIP顧客への対応における豊富な実績がある。

「当社には、富裕層やVIP顧客の対応を専門で行っている部署が複数あり、ノウハウが蓄積されています。お客さまが重要な取引先の方々とのリレーションを深めるためのイベントや旅行、ミーティングなどを企画運営したり、国際的なスポーツイベントや主要な国際会議などでは、要人の接遇をはじめ、裏方のスタッフへの支援なども手掛けています。世界のVIPに対応したホスピタリティーは、私たちの大きな強みです」(東原マーケティング担当マネージャー)

 JTBの優位性は、ステークホルダーをまとめながらプロジェクトを推進していくプロジェクトマネジメント力にある。現場では常に、人々がどのような感情を持って移動するのかを考えながら臨機応変にプロデュースする。数々の現場での経験に培われたホスピタリティーと、さまざまな業務に対応できるネットワークを持っていることも、同社ならではだ。

 では、本格始動させる「伴走型ビジネスアウトソーシング」では、どのような領域に力を入れていくのだろうか。

「私たちは旅行や会議関連以外にも、幅広くお客さまの課題解決のサポートをしていきたいと考えています。その中でも注力したいのは、すでに実績のある総務・人事系業務のアウトソーシングと、上位顧客に向けたカスタマーロイヤルティマネジメントです」と東原マーケティング担当マネージャーは話す。

 総務・人事系の代表例は、企業の採用活動のBPO業務だ。採用活動における採用マエ(採用面接など)から、採用ナカ(内定式や内定者懇親会、入社手続きの各種書類の発送や回収など)、採用アト(入社式や新入社員研修など)まで、採用活動を一つの“帯”と捉え、ワンストップでバックオフィスの役割を担う。ここでも同社が強みを発揮するのは、入社を迎える内定者の不安な気持ちに寄り添うホスピタリティーと円滑なコミュニケーション、そして内定式や入社式などのスムーズな運営である。

「企業が自社内で採用活動の全てを担おうとすれば、派遣社員などと契約して育成するといった負担が発生します。私たちにアウトソースしていただければ、ノウハウが蓄積されているため育成の必要がなく、お客さま対応のホスピタリティーで新入社員に寄り添えます。その分、総務・人事担当の方々は、採用活動のコア業務に集中していただくことができるというわけです」

 そう説明するのは、JTBビジネスソリューション事業本部事業推進チームの能津真大事業推進担当マネージャーである。

 また、総務・人事系のもう一つの業務として、コールセンター運営のBPOにも対応できる。JTBでは多人数の国内・海外旅行(特にインセンティブツアーや招待旅行)、各種会議関連などで案件単位毎のコールセンター設営経験がある。そのノウハウを生かして、例えば災害など緊急時でのコールセンターの設営、スタッフの管理をはじめ宿泊場所や交通の手配など、運営の全てをワンストップで提供することができるのだ。