また、プロジェクトベースの業務のように時限的に通信手段が必要になる場合や、社外の人材も同列で取り組むような業務であっても、「050 plus W-mode」を活用すれば、ユーザーのIDを割り当てる程度の簡単な管理ですむ。利用者の幅や働き方を広げることで会社全体として生産性アップのメリットを生かすことにもつながる。
セキュリティ面の課題は
BYODというと、企業サイドからは歓迎する声ばかりではないことも事実。これまで機種を限定して社内システムを運用していたような会社では、「多種多様な端末をサポートしなければいけない」「業務データのセキュリティが心配」といった声があがり、情報システム部門などでは及び腰なところも少なくない。
しかし、こと音声通話に関するデバイスについては、そうしたことはあまり気にする必要がない。データ系のサービスの改修に手をつけなくとも、音声通話の部分にまずBYODを導入することで上記のようなコストメリットを生かすという発想も有効だ。そのうえで、データ系のサービスも対応するなら、現在はセキュアブラウザを使い、端末からデータの閲覧や編集ができても、データは残さないシステムを比較的容易に構築できるツールもある。
セキュリティ面については、通話の音声は暗号化されるので、傍受される心配はない。また、ほかのアプリから電話帳や発信履歴を利用されるのでは、といった利用者の不安に対しては、「よりセキュアな利用が可能なように、今後の機能追加ではそれらを端末に残さない仕組みも検討中」(赤井氏)ということだ。
ただし、未知のマルウェアなど、スマホには一定の脅威が存在することは常に想定しておく必要はある。その意味でも、「BYODに踏み切るなら、外部から社用メールなどへのアクセスするの方法など、サービスや端末の運用ルールの整備は進めておいたほうがよい」ということだ。BYODは利用者側がなしくずしに進めると、企業としてのリスクは高くつくことになる。企業としての明確な方針を早期に決定し、環境整備に取り組むことが望まれる。
(文/ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス)