ポイントを整理すると、

①    国が作った共済制度なので安心確実な運営
②    掛金は全額課税対象所得から控除できる
③    満期や満額がなく廃業や退職時に受け取ることができるので経営者の退職金となる
④    事業をやめなくても65歳以上で掛金を15年以上納付していれば退職金として受け取れる

 加藤さんは、「国が作った共済制度」というところに安心感を覚えるという。「民間にも退職金を作る商品はあると思いますが、これから何十年も掛金を積み立てることを思うと、私なら国が作った制度を選びます。加入のときも他のものとの比較検討はしませんでした」。

 掛金は月額1000円から7万円の範囲内(500円単位)。金額は加入後も変更できる。事業の状況により掛金の納付が厳しいときは、減額して続けることができるし、回復したらまた増やせばいい。

 掛金全額控除の具体例はこうだ。課税対象所得400万円の場合、掛金月額3万円では、加入前税額78万5300円に対し、加入後税額は67万5800円に下がり、10万9500円の節税効果が得られる。これを20年続けると219万円の節税効果が得られる。加藤さんも「節税効果は魅力的ですね」と話す。

 共済金額(退職金)のシミュレーションは下図を参照してほしい。

 事業を長く続けていると、突然運転資金などが必要になることがある。金融機関から借り入れという方法もあるだろうが、「小規模企業共済」を続けていれば、納付した掛金の範囲内で事業資金の借り入れができる。この制度はいざというときの備えになり心強い。付け加えれば、共済金の受給権は(会社が倒産した場合などでも)差し押さえができないことも知っておくといい。

「同業者の中にもこの制度を知らない人がいるはずなので、会合などでお勧めしたいと思います」。加藤さんのこの言葉が「小規模企業共済」の安心感と満足度の高さを表しているようだ。

●問い合わせ先
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
〒105-8453 東京都港区虎ノ門3-5-1 虎ノ門37森ビル
TEL:050-5541-7171(共済相談室)
URL:smrj.go.jp
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