人材育成に従来比
3倍の予算をかける
阪和興業の創業者である北二郎は「商社は人なり」を信条とし、「企業の繁栄と社員の幸福は車の両輪である」との理念を掲げた。その理念は今もしっかり受け継がれ、人材育成や研修には力を入れている。22年度は従来比3倍もの予算をかけ、VR環境を備えた企業内大学(Hanwa Business School)を創設した他、国内MBA派遣をスタート、コロナ禍で中断していた海外語学留学制度の再開も果たした。
「企業内大学は、八つの学部編成となっています。さまざまな研修をカテゴリーごとに八つの学部に集約・体系化しており、これまで実施してきたスキル研修のみならず、当社オリジナルのコンテンツがあるのも特徴です。例えば“文学部”では、先輩たちが、どのように新規の取引先を開拓したのか。その内容をインタビュー動画で公開しています。顧客満足を第一に考え、確固たる信頼関係を構築しながらビジネスを拡大していく。そんな阪和のスピリットやDNAを伝えていく手段にもなっています」(鶴田執行役員)
公募制の国内MBA派遣には、営業の最前線で活躍している社員も積極的に手を挙げ、業務の合間に勉強に励んでいる。海外語学留学制度は、中国(中国語)とメキシコ(スペイン語)への語学留学を再開、こちらも公募制で1年間は業務を離れて語学の習得に集中する。この他、半年間海外の支店で学びながら勤務する「海外トレーニー制度」もある。本社では海外現地法人の社員も受け入れ、「ナショナルスタッフ研修」など双方向の交流もある。基本的に海外で活躍したいと希望する社員が多いため、グローバル人材の育成には今後も力を入れていく考えだ。
「阪和は独立系商社であり、自らビジネスを創り出す意欲を持ち、お客さまに提案していくことで仕事が生まれます。その分、自由な発想で自由に動けるという魅力がある。“阪和に行けば、何か面白いことができるのではないか”と興味を持つ人材に来てもらいたい」と鶴田執行役員は話す。
近年は毎年100人以上の新卒社員を採用し、キャリア採用も積極的に行っている。スケールが拡大しビジネスが多角化する中で、次世代を担う多様な人材が求められている。