半導体・医療・通信の
成長領域にも進出
フッ素樹脂技術を生かした同社の事業領域は広い。私たちの目に触れるのは建築業界向けに出荷している建築用膜材(屋根材)。東京ドームやJR山手線・高輪ゲートウェイ駅、海外では北京オリンピックのメイン会場となった“鳥の巣”などの屋根材だが、技術革新が早く、高成長を続ける半導体業界、医療機器業界、情報通信・電気機器といった業界でも同社の製品は不可欠な存在となっている。
同社の創業地(長崎県松浦市)でもある九州は、シリコンアイランドと呼ばれる半導体産業の集積地。「半導体の生産に使う半導体製造装置は日本が強みを持つ分野ですが、その洗浄工程において、当社のフッ素樹脂を成形した洗浄槽や洗浄液搬送用チューブが使われています」(庄野社長)。医療機器関連市場への展開にも力を入れており、カテーテルや内視鏡システムをはじめとする各種医療機器向けチューブなどを生産。さらに情報通信・電気機器業界向けには、5G/6Gや人工衛星などで使われる高周波基板といったインフラを支える通信用基板材料を提供している。高機能樹脂の加工産業はニッチだが技術障壁が高く、今後も多くの需要が見込まれる。
離職率1.6%が示す
働きやすい職場環境
同社の離職率は1.6%。2022年の日本企業全体の離職率は15.0%(厚生労働省「雇用動向調査」)であり、同社の数字の低さが際立っている。その大きな理由は働く環境の良さだろう。勤務時間実働7.5時間、年間休日日数127日(23年度)であり、多くの社員はアットホームな社風の中で、ワーク・ライフ・バランスを実現させている。
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社内制度としては、年に1度、自分の家族に米か花のギフトを贈ることができる「バースデーギフト制度」、アイデアの提案や他部署への協力などを行うとポイントが付与され、抽選会に参加したりギフト券がもらえたりする「chukohマイレージ・ポイント制度」、身の回りのトラブルをそっと相談できる「顧問弁護士相談窓口」など充実している。また、従業員の個々の生活に配慮した独身寮も24年中に完成予定だ。