高機能なフッ素樹脂を自在に加工する技術を持つ会社は世界でもごく少数。長崎・松浦市と栃木・鹿沼市に開発・製造拠点を持つ中興化成工業は、その抜きん出た開発力と加工技術を駆使して、顧客の課題解決を「楽しむ」ことができる会社だ。
中興化成工業
庄野直之 代表取締役社長
庄野直之 代表取締役社長
ロンドン在住のイラストレーター、グレース・ヘルマーさんのイラストが印象に残る東海道新幹線の車内広告「ふっ素のふふふ」を見た人は多いのではないか。この広告を提供している中興化成工業は“世界のふっ素屋”として60年の歴史を持つ、フッ素樹脂やシリコーン樹脂をはじめとする高機能樹脂の総合加工メーカー。
庄野直之社長は、フッ素樹脂をこう説明する。
「フッ素樹脂は樹脂の中でも最もタフな特性を持っています」
タフとは、融点が327度と高く、凍らせてもマイナス253度まで変化しない耐熱耐寒性、あらゆる個体の中で最小の摩擦係数を持つ滑り性、ほとんどの薬液や溶剤に侵されることがない耐薬品性、非粘着性、電気絶縁性、耐候性のこと。
「このような特性のため、製品を作るときには“言うことを聞かない”という難しさがあるのですが、当社には、“言うことを聞かないフッ素樹脂に言うことを聞かせる技術”があります」。ただし、と庄野社長が続ける。「そのような技術は手段であり、技術を通じてお客さまの課題を解決することが当社の事業の本質です」。