相手を思いやり、
つながりを大切にする
医療、介護、保育という三つのコア事業でシナジーを高め、総合生活支援企業グループとして安定した成長を続ける今も、井出貴子副社長は「最大の経営資源は人財です」と言い切る。
「現場スタッフはもちろん、あらゆる社員が『社会の役に立ちたい』『地域に貢献したい』という共通の思いを持っています。相手を思いやり、つながりを大切にする人間的な『やさしさ』こそが私たちの強みの源泉だと思っています」
「誠意・誇り・情熱」という社是にも、この社風が表れている。「マニュアル通りに動くだけでは、多様化する地域ニーズにきめ細かく応えることはできません。目の前の人や課題に寄り添いながら、前例のないことにも果敢に挑戦するマインドが不可欠なのです。たとえ失敗しても自信を持ってやり切ったとき、社員も組織も確実に成長します。一人一人が日本の医療・介護・保育を支えている誇りと、未来を変えようという情熱を持ち、とことん挑戦してほしいと思っています」と井出副社長。こうした考え方から、現場の力を生かす人財登用にも積極的だ。
「創業者は小まめに現場を訪問し、支店の会議にも積極的に顔を出す人でした。そして、固定観念にとらわれない柔軟な人、チャレンジ精神旺盛な人など、キラリと光るところがある人財を見いだしては管理職に登用してきました。この伝統は今もしっかり根付いています。私自身、現場社員と経営者の意見交換の場で創業者の熱意に背中を押されて、新規事業の立ち上げや事業拡大に挑戦した経験があります。そして今、経営層の一員となっています」。同グループは女性の比率も高い。現場からたたき上げで要職を担う女性も多く、女性管理職比率は8割に上る。性別にかかわらず、ライフスタイルが変化しても柔軟に働き続けられるよう、家族の転勤に合わせたエリア異動、従業員用保育所の設置、男性社員の育児休業推進、親族の介護相談といった支援の仕組みを整えている。
異なる背景や価値観を尊重し協働する風土もある。意欲的に取り組んでいるM&Aでは、07年に介護大手のコムスンから居住系介護事業を承継しているが、今では当時の若手社員の多くが幹部として活躍中だ。
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