例えば23年3月には、東京都品川区の戸越銀座商店街(約1.3キロメートル)で新たな実証実験を行った。実験はAR(拡張現実)+GPSデータ+店舗データを組み合わせ、スマートフォンのカメラを通して商店街を眺めると、実際の風景に重なる形で各店舗の情報をリアルタイムに表示した。店舗の様子が一目で分かり、購買体験を一層充実させることにもつながった。
「商店街を訪れるお客さまに情報を的確に、効率的に伝えることで、新しい購買体験を提供する『デジタルな、街・モール・店舗』を作り、地域の活性化に貢献できるよう努めてまいります」(河野社長)
会社は“人”
高いエンゲージメント
新入社員には「良質な経験を積み重ねながら知見や人脈を広げ、会社に新たな成長を芽生えさせてほしい」と河野社長は期待を込める。「会社で重要なのは、やはり“人”。そのために必要なのが、社員のエンゲージメントの高さです。お互い尊敬し合い、高め合うことで、会社に寄り添っていただけるよう工夫をしています」。
そのため、リモートワークの拡充、研修(海外含む)の充実、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)施策などに積極的に取り組んでいる。女性の採用比率や継続就業環境などが評価されて厚生労働大臣から「えるぼし」の認定(18年)、“子育てサポート企業”として「くるみん」も21年に認定を受けている。
また、IT企業といえば理系、とイメージされがちだが、文系の採用も多く採用者の6割ほどを占める。
「社名に『システム』と入っていますが、事業はシステムを作るだけではありませんし、ITを活用してどんなサービスが提供できるかを考えることに、理系・文系の境界はありません」と河野社長。
若い世代の感覚を経営に生かすユニークな取り組みもある。3年ごとに策定する中期経営計画では、社員全員参画という形でワークショップを開き、若い社員がリーダーシップを持って主体的に活動している。難しい課題についても「経営・ビジネスの専門家に『壁打ち』をしてもらいながら計画を作ります。初めは経験不足だからとためらう社員もいますが、チャレンジし続ける中で若手が頼もしく育っていくのはうれしい限りです。私たちは新しいことに臆せず挑戦できる仲間たちと力を合わせ、さらに成長を続けたいと考えています」(河野社長)。