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日本企業こそ「連続のイノベーション」を。 その鍵を握る「中高年の能力」を評価できるか?

【特別対談(後編)】冨山和彦×山田英司

日本企業こそ「連続のイノベーション」を。
その鍵を握る「中高年の能力」を評価できるか?

著者・コラム紹介
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冨山 日本企業は業績が悪くなると、一律に希望退職を募ったりしますが、僕個人としては、むしろバッサリと縦に切っちゃったほうがいいと思っています。事業ごとバッサリと切ってしまうんです。GEはそれを聖域なくやっただけ。日本企業にも、そうした「捨てる力」が必要です。

山田 私も経営者として、事業の選択と集中は非常に難しいと感じています。GEや日立製作所の姿を見ていると、そうした明確なイグジット・ルールの重要性も認めざるを得ないのも事実です。しかし当社は、社会的課題や社会インフラにかかわる事業も数多く手がけています。そうしたビジネスの多くは、すぐに成果が出るようなものではありません。株主から集めた資本金で事業を行う公開会社である以上、見込みのない事業に際限なく資金や人員などのリソースを注ぎ込むことが許されないのは当然ですが、社会的に価値のある事業であれば、何としても成功させるといった執念のようなものも必要だと考えています。当社のように、課題先進国ニッポンの難問をビジネスチャンスに変えようと思うのであれば、激しく変化する時代の流れをきちんと読みつつ、腰を据えて取り組むという、いわば「タテをつなぐ力」も大事にしたいと考えています。

冨山 なるほど、それはNTTデータさんらしいかもしれませんね。連続のイノベーションをどの事業で行なうか、それを見極めることが経営者の腕の見せどころといえるでしょう。

 さて、GEにはできて、日本企業にはできなかった、もうひとつの理由ですが、それは「規制環境が多すぎる」ことです。日本がいま課題先進国であるならなおさらです。企業が、数多くある社会課題に挑戦し、それを解決することで新たなビジネスを生み出すためにも、国は規制を緩やかにし、もっと自由に動ける状況を作るべきです。いわば、マーケットをデザインするということ。そうした自由な環境のなかで、社会実験的なトライ&エラーができないと、新しい商品やサービスはなかなか練れていかない。その繰り返しで初めて、ビジネスとして進化していくんですから。医療ビジネスでいえば、GEやフィリップス、シーメンスも自分たちのホームグラウンドでいろんなことにトライしてきている。つまり、練れた商品やサービスを世界に持ってきているワケなんです。

山田 そうした自由な環境が、日本企業が連続のイノベーションを極めるうえで不可欠な条件だということなのですね。

ビジネスのなかにどれだけ
「多様性」を担保できるか

冨山 日本企業は連続のイノベーションを極めるべきだと言いましたが、そうするとやってしまいがちなのが、要素技術だけを極めようとすることです。たしかに日本企業の要素技術を作り出す力は高い。しかし、ビジネスとしてのイノベーション力が弱い。

山田 で、すぐにコモディティ化の波にのまれてしまう。

冨山 そう。いま苦境に立たされているシャープやパナソニックはその典型です。本当にいい技術を持っているにもかかわらず、それがうまくマーケティングできていないというか、ビジネスとしてのイノベーションができていない。そういうとき僕は、ある種のオープン・イノベーションというのがカギになってくると思っています。ずっと連続的に統一的に社内で積み上げてきたものと、M&Aも含めた、外からの異質なものとをどう組み合わせるか。内部資源と外部資源の組み合わせ、それでビジネスというものが成り立っているからです。

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