クオリティー企業を買う理由としてはこれだけで十分のように思えるかもしれない。そして、これらの企業が「複利の魔法」のおかげでバフェット氏とマンガー氏から何年にもわたって紹介されてきたのは、まさにそうした理由からだ。だが、もっと深く掘り下げる必要がある。
クオリティー株が長期的にアウトパフォームするには、割安でなければならない。そこが難しいところだ。
クオリティー株はその安定性ゆえに、通常は低クオリティー株よりも価格が高い。しかし何十年もの間、そのプレミアム(上乗せ幅)は妥当な水準よりも小さかった。完全に効率的な市場であれば、クオリティー株は他の銘柄と同じリスク調整後リターンをもたらすだろう。なぜなら、誰もがその質の高さをすでに知っており、リスクと複利効果を理解しているからだ。現実の世界では、市場は完全には効率的ではない。また、AQRキャピタル・マネジメントの研究によって証明されたように、クオリティー株の価格は歴史的に妥当な水準ほど高くなかった。
クオリティー株が割安だった理由を説明する理論として筆者が最も好きなのは、クオリティー株は一獲千金を狙うギャンブラーには魅力的ではないから、というものだ。クオリティー株はじっくりと富を蓄える一助となるべきもので、売買を頻繁に繰り返すトレーダーにとっては単純に魅力が薄い。そうしたトレーダーが好むのは大きな値動きであり、レバレッジを効かせたり、予測不能な利益を上げたりする取引である。
この分析は、クオリティー株のパフォーマンス低迷が長期間にわたる理由を説明するのに役立つ。不況時にはクオリティー株は堅調に推移し、当該企業の強固なバランスシートと安定的な利益が魅力となり、結果的に株価は高くなる。株価が安すぎると将来のリターンが高くなるように、株価が高すぎると何年もパフォーマンスが低迷する要因となる。クオリティー株が絶好調だった時期の後には毎回そうした展開になった。これは1970年代初頭・1990年代・ITバブル不況・金融危機など、景気後退(リセッション)の前後に起こりがちだった。




