「投資の神様」とも評されるウォーレン・バフェット氏が、日本の5大商社株を買いましたことが分かった。あのバフェット氏は、日本の商社株の何を評価したのか。そして、今後の狙いとして注目すべきポイントとは何か。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
バフェット氏が大手商社株を
買い増した影響
米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイが完全子会社を通じて、日本の大手総合商社5社の株式を買い増ししていたことが、関東財務局に提出していた変更報告書で明らかになった。大手総合商社とは、伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5社だ(11月22日の時価総額順)。
バフェット氏は、2020年の8月までに大手総合商社5社にそれぞれ発行株式数の5%を超える投資を行っていたことが明らかになっていたが、今般、各社について発行株式数の約1.5ポイント程度を買い増した。例えば、三菱商事では保有比率を従来の5.04%を6.59%に1.55ポイント引き上げたが、22日の株価で計算すると約1000億円の買い増しだ。
今回の買い増しによって、大手商社5社の株式におけるバフェット氏の会社の保有比率は軒並み6%台になった(伊藤忠商事の6.21%〜丸紅の6.75%)。
それなりに存在感のある保有比率だが、バフェット氏の投資スタイルから考えて、また5社に時価総額比率でほぼ均等に投資していることから見て、経営に関与する意図を持った投資ではなく、国際分散投資の一環としての「純投資」なのだろう。