バフェット氏とマンガー氏は、恐らく彼らにとって最大のミスを犯した後に、もっと長い低迷期を経験した。そのミスとは、1998年のミニバブル期に米飲料大手コカ・コーラの株式を売却しなかったことだ。コカ・コーラの株価収益率(PER)は一時50倍となった。これは異常に割高な水準であり、バフェット氏らは最大のポジションを構築していたコカ・コーラ株を手放すべきだった。だが、彼らは長期的な複利効果というマントラ(信条)を重視し、売却はしなかった。そしてバブル後に当然やって来た不況の間中、コカ・コーラ株を保有し続けた。株価が直近高値を回復したのは13年後のことだった。

 足元のリスクは、同じようなことが起ころうとしていることだ。2021年初めには、特別買収目的会社(SPAC)、大麻、暗号資産(仮想通貨)、クリーンエネルギー、ハイテク新興企業に対する投機がブームとなったが、それが崩壊して以降は高クオリティー株が低クオリティー株を圧倒してきた。高クオリティー株は景気後退を見込む投資家に安全逃避先として利用されたことで好調を維持した。また、投資家が利益率の高い企業を探そうとしたことも追い風となった。

 リサーチ・アフィリエーツのロブ・アーノット会長によると、投資家は利益率が高い銘柄に対して、通常よりはるかに高いバリュエーションで報いつつ、バリュエーションが通常の水準に戻って失望が広がる事態に備えている。そのため、高利益率銘柄が含まれることが多いクオリティー株はバリュエーション指標の大半が長期平均を上回る。

 一例を挙げよう。iシェアーズのクオリティー・ファクターETF(上場投資信託)は同種のETFとしては最大規模で、MSCIのクオリティー指数を採用している。同指数は高利益率銘柄のバリュエーションが原因で、市場全体や過去水準と比べて割高となっている。同指数は構成銘柄の選定基準(利益率など)に基づき、米半導体大手エヌビディアが最大の保有銘柄となっている。エヌビディア株は今年、驚異的なリターンをもたらしたが、PERも押し上げた。言い換えれば、クオリティー株であるが超割高なのだ。

 一握りのハイテク株の重みを下げるためにセクターを調整したとしても、クオリティー株は通常よりやや割高だ。さらに悪いことに、それはもう特別なことではない。マンガー氏が株式投資を始めたころは、ほとんど見向きもされなかったクオリティー株を見つけるチャンスはいくらでもあった。今では、いわゆる投資ファクターとしてのクオリティーは広く使われている。投資銀行のUBSは先週、景気減速に対処する方法として「合理的な価格でのクオリティー株」を推奨し、最も高価なクオリティー株には手を出さないよう注意を促した。

 素晴らしい企業を適正価格で購入することは、時間をかけてお金を稼ぐまっとうな方法である。同じことをしたいと思っている人が大勢いる今は、価格がまだ適正であるときにそれを見つけられるかが問題となっている。

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――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

(The Wall Street Journal/James Mackintosh)

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