「区分所有法」が改正される。決議の要件が緩和されることから、建替えなどのマンション再生が進むと期待されるものの、実はまだハードルは高い。特に人気が高い都心のマンションは賃貸需要が高く、区分所有者の「再生」意識は低い傾向にあるのだ。だが、再生を先送りすれば資産価値は下がるばかり。解決策を探してみたい。
築40年超の高経年マンションは、建物の老朽化と住民(区分所有者)の高齢化という「二つの老い」に直面している。これに対応するため、2024年、「区分所有法」の改正に向けた議論が活発化している。
旭化成不動産レジデンスのシンクタンク、マンション建替え研究所の重水丈人所長によれば、改正の要点は次のようになる。
東京都港区での建替え事例
マンションの建替え決議では、「所有者の5分の4の賛成が必要」という規定が維持されるが、地震や火災への安全性が不足している、外壁などの落下の危険性がある、バリアフリーの基準を満たしていないなどのケースでは、「所有者の4分の3の賛成」に引き下げられる。また、所在が分からない所有者については、これまでは母数に含めて反対と見なしてきたが、裁判所が認めれば母数から外せるようになる。
さらに、マンションおよび敷地を売却したり、取り壊したりするケースについても、区分所有法で決議できる仕組みが新設される。