企業活動における
社会貢献への有効な手段

 企業版ふるさと納税には「人材派遣型」もある。これは、企業版ふるさと納税の仕組みを活用して、専門的知識やノウハウを有する企業の人材を地方公共団体へ派遣することをいう。企業は人件費を含む事業費について寄附を行い、派遣された人材は、寄附と同一年度に、寄附活用事業に従事する地方公共団体の職員として任用される。

 人材派遣型における地方公共団体のメリットは、専門的な知識やノウハウを有する人材が、寄附活用事業やプロジェクトに従事することで、地方創生の取り組みをより一層充実・強化できること。また人件費を負担することなく人材の受け入れができる点にある。企業のメリットとしては、税の軽減を受けられる他に、企業のノウハウを活用した地域貢献がしやすくなること、また人材育成の機会として活用できることなどがある。

 企業版ふるさと納税を利用する企業は年々増えている。22年度に寄附を行った企業数は4663社で、前年度比較で約1.5倍に増加。寄附を受領した地方公共団体の数は1276団体となり、前年度比較で約1.3倍となった。その結果、22年度の寄附実績は、金額が前年度比約1.5倍の約341.1億円、件数は約1.7倍の8390件となり、前年度に引き続いて金額・件数共に大きく増加した。

 内閣府では、企業と地方公共団体とのマッチング会を定期的に開催し、企業版ふるさと納税の制度の普及に努めている。会では地方公共団体がプレゼンテーションを行い、企業は関心を持った地方公共団体と個別にコミュニケーションが取れるようになっている。企業にとっては、自社のブランド価値を上げながら、法人関係税を軽減でき、地方創生を応援できるという企業版ふるさと納税。企業活動における社会貢献への有効な手段として注目したい。