かつては原料メーカーとして黒子に徹していたが、近年では「社員や家族が会社に誇りを持てるように」との思いから「目立つ黒子」への転換を宣言し、社名を冠したカスタマー向けの新規事業も意欲的に開発。現在、チョコブラウニー専門店〈Fat Witch New York〉をニューヨーク、京都、東京で実店舗を展開するほか、低糖質にこだわったパンが人気の〈低糖工房〉、産前産後の女性を食でサポートする〈Minotte(ミノッテ)〉といった自社ブランドのオンラインショップも好調だ。
実店舗がある「Fat Witch New York」は魔女のイラストがかわいいチョコブラウニー専門店(写真上)。ネット通販で人気の「低糖工房」は、糖質が気になる現代人のためのおいしい糖質オフ食品を提供
2018年から4代目として経営のかじを握る筏(いかだ)由加子社長は「リボン食品の最大の持ち味はユニークさです」と語る。
「たとえ得意なことでも、他社がこぞってやりたがることはやらないし、どれだけ手間がかかる面倒なことでも、求める人がいればとことんやる。大手企業のような発信力や影響力はないので、一歩も二歩も時代に先んじる大胆な変化は起こせませんが、オーナー企業ならではのスピード感を生かして、人々のニーズに少しだけ早く気付き、半歩先のユニークな未来を提案し続けたいと思っています」
個性を発揮できる創造性豊かな
「家族的経営」
ユニークさを発揮するためにも、同社では若手社員の活躍を重視する。新商品の企画やSNSを活用した広報など、入社3年以内の社員が中心となって動かしているプロジェクトは数多く、会社を代表する大舞台に若手を抜てきするのも日常的だ。
「先日も、ある研究会で2年目の社員がリボン食品の代表として登壇してプレゼンをやり遂げてくれました。昨年は機械を購入するためのドイツ出張を新入社員に任せたところ、素晴らしい仕事をしてくれました」と筏社長はさらりと話す。
月2回の「トレンド試食会」は若手社員が中心になって運営される。ちまたで話題のスイーツを囲んで、部門を横断し、活発に意見が飛び交う
なぜ若手がいきいきと活躍できるのか。実はその鍵は「アットホームな家族的経営」にこそあるという。