5~6時間のリサーチを
たった15秒で完了!

 荻原社長は税理士法人の職員や若手税理士が、毎日のように膨大な調べ物に追われていることを、業界の課題と捉えていた。

 「法令のリサーチばかりやらされているから、若い人はなかなか税理士の仕事に興味を持てない。生産性を上げて、仕事や働き方を根本から変える必要があると考えていた」と話す。

 そんな思いもあり、開発当初から実務で使うことを前提に開発を進めてきた。国税庁のホームページにある通達やQ&A、税務大学校のテキストまで学習させたのはそのためだ。

 こうして完成した税務相談ロボットは、通常5~6時間かかるリサーチをたった15秒で行い、資料と共に正確な答えを表示する、業界随一の優れ物となった。

税理士が実務で使うプロ向けのサービス。出典や資料もセットで回答されるのが最大の強みだ税理士が実務で使うプロ向けのサービス。出典や資料もセットで回答されるのが最大の強みだ 拡大画像表示

素早く深いリサーチができ
“相談者ファースト”に転換

 税務相談ロボットは、単に生産性向上が可能なだけではなさそうだ。士業を専門とするコンサルタントで、パワーコンテンツジャパン代表の横須賀輝尚氏は、「税務相談ロボットを実務で使いこなしていることが、税理士の強みになる」と話す。

 全ての士業にいえることだが、税理士に持ち込まれる相談はイレギュラーでグレーなものが多い。インターネットで検索して簡単に分かるような相談は、基本的に持ち込まれることがないからだ。

 例えば、個人事業主のスーツ代は経費として認められるか、という質問が寄せられたとする。相談者の身になって丁寧に回答するなら、経費で認められる基準を示すべきだ。

 過去に同様のケースがあったか、さらに経費で認められるためには、年間何回業務で着用した場合かなどを調べなければならないが、その答えにたどり着くには、膨大な時間と労力が必要だ。

 知り合いの同業者に聞けば分かるかもしれないが、相手に時間を取らせてしまうのも気が引ける。そうこうするうちに時間だけが過ぎ、「おそらく認められない」という、保守的な回答をせざるを得なくなる。

 もし税務相談ロボットがあるなら、質問を数回投げれば、大まかな回答は得られ、さらに細かく調べる時間が生まれる。短時間で深いリサーチまで行った質の高い回答が可能になり、相談者ファーストの対応ができるのだ。

 今後、生成AIを活用したデジタルツールが続々と登場するとみられる。職員や若手税理士がリサーチから解放され、相談者や顧問先企業へのサービス向上に時間を使うという理想を実現できるのは、そう遠くないはずだ。

Key Visual by Noriyo Shinoda

TOP