会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変#13Photo:z_wei/gettyimages

会計学2科目と税法科目3科目の合計5科目の合格が必要な税理士試験。だが、大学院修了によって税法科目3科目のうち2科目を免除できる制度があり、近年、税理士を目指す人の最短かつ効率的なルートとして注目されている。そこで、特集『会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変』(全19回)の#13では、科目免除制度が活用できる“お得”な大学院の入試難易度リストを公開する。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

税理士“不人気”を返上か
若者の受験者が増加へ

 税理士試験で今年、異変が起きた。

 2022年の税理士試験において、“入り口”科目である「簿記論」と「財務諸表論」の受験申込者数が、それぞれ前年比8.5%増、5.2%増となったのだ。実際の受験者数を推計すると、2科目合計で2万5000人を超えた可能性が高い。

 さらに2科目の受験者の年齢を分析すると、25歳以下の若年層が増えているという。

 税理士業界はここ数年、受験者数の減少と、税理士の過半が60歳を超えるという高齢化に直面していた。日本税理士会連合会はそうした状況を改善しようと、全国の15大学で租税講座を開催するといった涙ぐましい努力を続けていた。それが一気に好転したとあって、税理士業界は久々に沸いている。

 税理士法人ベリーベストの代表で、税理士試験の動向にも詳しい岸健一税理士は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で大学が休校になったため、受験する学生が増えたのだろう」と分析する。

 加えて岸税理士は、「税理士試験は、大学院ルートが王道になりつつある」と指摘する。大学院ルートとは、大学院修了による試験科目免除制度だ。

 税理士試験は、会計学に属する「財務諸表論」「簿記論」の2科目と、税法に属する所定の科目から選択した3科目(「法人税法」と「所得税法」のうちいずれか1科目は必須)の計5科目の合格が必要となる。5科目を一発合格することは極めて困難で、毎年1~2科目受験し、数年かけて5科目合格を目指すのが通常ルートだった。

 ところが、各科目の試験は記述式で、合格するかどうかは運が大きく左右するといわれる。

 一方で大学院ルートは、「租税法」に関する一定の単位を修得して修士論文を書き上げ、その修士論文が国税審議会で認められれば、税法3科目のうち2科目の試験が免除される。残り1科目は試験に合格する必要があるが、どの税法科目でもよい。会計学においても、会計学にまつわる修士論文によって1科目を免除できる。

 つまり、数年かけて試験に挑戦するより、大学院に進学して確実に試験科目の免除を受ける方が、時間と労力の無駄遣いをしなくて済むのだ。

 次ページでは、主な税法科目免除大学院の入試難易度付きリストを作成した。効率よく、最短で税理士試験突破を目指したいなら必見だ。