激変!3大士業の仕事&稼ぎ方 弁護士 会計士 税理士#15Photo:PIXTA

会計士1人当たり売上高は、監査法人の経営効率を測ることができる指標だ。と同時に、身の丈に合った運営がなされているか否かが推察できる指標でもある。特集『激変!3大士業の仕事&稼ぎ方』の最終回では、監査法人の経営効率を分析した。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

効率よく稼ぐ監査法人は?
会計士1人当たり売上高ランキング

 監査法人は株式会社と違い、利益を追求する組織ではない。ところが今、監査法人ではリソースである会計士を有効活用して売り上げを伸ばし、純利益を最大化する必要性が増している。

 2000年代から旧カネボウやオリンパス、東芝など、世界的に認められていた上場企業の不正会計が相次いで発覚。それをきっかけに、金融当局と日本公認会計士協会の主導で監査の厳格化が進められ、その結果、次々と新たな監査手法が取り入れられることになった。

 監査を担う監査法人のやるべきことは、毎年のように増えている。だが、それによって監査意見表明の期日が延ばされるわけではない。上場企業のほとんどが3月決算であることから、繁忙期である3~6月は、数年前とは比べものにならないほど忙しくなっている。

 そんな“超”繁忙期を乗り切るにはどうすればよいか。方法は二つに絞られる。まず挙げられるのは、最新のデジタル技術を使った監査業務の効率化だ。だがAI(人工知能)を活用した監査のデジタルトランスフォーメーションを進めるには当然、投資が必要だ。その投資余力を確保するために、監査法人は効率良く、利益を稼ぐ必要が高まっているというわけだ。

 もう一つの方法が、より多くの会計士を採用することだ。

 既に四大と準大手4法人の大手8法人の間では、会計士を奪い合う採用競争が繰り広げられている。ただし、大手法人なら仕事内容はどこも似たり寄ったり。従って、給与や福利厚生を充実させる必要がある。その原資を確保するために、より多くの利益を稼ぐ必要があるのだ。

 そこで、114監査法人の経営効率を測る指標として、監査証明業務と非監査証明業務を合わせた売上高を、期末に在籍する会計士数で割った、会計士1人当たり売上高を算出した。次ページで、その詳細を見ていこう。