四つの大規模開発を同時に進行させる
中でも、経営統合後の最重要プロジェクトとしてヒト・モノ・カネを投入し、積極的に推し進めているのが四つの都市開発プロジェクトだ。東京の「虎ノ門一丁目東地区」「内幸町一丁目街区南地区」「田町駅前建替プロジェクト」と、大阪の「淀屋橋駅東地区」。今春「内幸町」が着工し、四つ全てが建築段階に入る。構想段階からおよそ15年にも及ぶこれらのプロジェクトが最終的に完成するのは27年ごろの予定だ。
「旧日本土地建物グループが地元と共に総力を挙げて創り上げた『京橋エドグラン』(東京・中央区、地上32階・地下3階建て)と同規模の開発を、四つ同時に進めています。それだけ経営基盤が充実したわけです」(三宅社長)
規模の大きさだけでなく、中央日本土地建物グループ“らしさ”がふんだんに盛り込まれているのも四つの都市開発プロジェクトの特徴だ。例えば、官庁街である霞が関に近い「虎ノ門」では、官・民・各団体の交流や共創を促す「虎ノ門イノベーションセンター(仮称)」の導入など、虎ノ門駅と一体で整備する国際的なビジネス交流拠点を開発。
「虎ノ門や霞が関は当社が本社を構える重要エリアであり、15年の準備組合設立よりさらに前から地元地権者の皆さまとまちの在り方について意見交換してきました。『虎ノ門』の開発には、その成果がしっかりと反映されています」と三宅社長は明かす。
都市開発において同社が何よりこだわるのは、地権者やテナント企業、そこで働く人々など、あらゆるステークホルダーと「共に」まちを創り上げることだ。
「当社が最も重視するのは企業理念である“共創”の姿勢。『未来を共創する。』というコーポレートスローガンを掲げています。不動産はさまざまな社会経済活動や人々の暮らしの基盤となる公共性の高い社会インフラであり、当社が一方的に何かを押し付け、当社だけが利益を得るような姿勢では成り立ちません。人の意見に耳を傾け、夢や思いを重ね合わせて、未来志向でまちを創り上げたい」と三宅社長は語る。