アフラック生命保険が、経営や事業への効果の獲得にこだわった生成AIの活用を進めている。サポートしているのはボストン コンサルティング グループ。同社は“実用的”なシステムや仕組みをどう構築していったのか。生成AIの真価を引き出す秘訣を探る。
──アフラック生命保険は、2023年12月に生成AI(人工知能)を活用した業務支援システム「Aflac Assist」の本格運用を開始しました。ボストン コンサルティング グループ(BCG)と二人三脚で徹底的な業務効率化に取り組んでいるそうですね。
二見通・ アフラック生命保険取締役専務執行役員CTO CDIO お客さまと代理店に対するサービスの向上と社内業務の効率化を目的とした、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の一環です。
実を言うと、生命保険会社は金融業界の中でもデジタル化が遅れている業態だったと思っています。例えばIoT(モノのインターネット)を駆使しようにも、現時点ではIoTを活用できる機会が限られる。モノに関する商品も扱っていません。
しかし、諦めるわけにはいかない。特にデータ活用は今後のビジネス発展の鍵です。サービスの向上、営業活動の効率化のみならず、業務プロセスの変革においても大変重要です。
現在、私たちは日本で事業を始めて以来、50年かけて構築してきた業務プロセスを抜本的に見直しているところですが、当社が保有する大量のデータと生成AIの活用によって、ここでも業務改革がかなり進展するのではないかと期待しています。
高部陽平・BCGマネージング・ディレクター&シニア・パートナー 生成AIは従来のAIとは異なり、入力した文章をそのまま処理して回答することができます。
お客さまへの商品のご案内にしても保険金の支払い査定にしても、保険業務はテキストデータや定性的な情報を基に微妙な判断を人間が下すことで成り立ってきた面が大きい。そのため生成AIは保険業務と親和性が高く、保険ビジネス全体を大きく変える可能性を秘めています。
加えてアフラックの生成AI活用は、効果が出る業務をしっかりと特定し、将来的にどんなことまで行えるようにするか明確なビジョンを描いてシステムを構築している点が特徴的です。
──効果ですか。言われてみると、生成AIは活用できただけで満足してしまいがちです。