DXに必要な
「攻め」と「守り」とは

高部 私たちはさまざまな企業の生成AI活用をご支援していますが、多くの場合、「誰もがとりあえず利用できるシステム」を目指そうとします。しかしそのアプローチは、実験的に生成AIを使う段階では意味があるのですが、経営や事業への効果は十分に得られません。

アフラック流「生成AI活用術」の独自性、システムの汎用性より“成果重視”の真意とはボストン コンサルティング グループ
高部陽平
マネージング・ディレクター&シニア・パートナー
たかべ・ようへい/IBMビジネスコンサルティングサービス(旧プライスウォーターハウスクーパース)を経て2005年ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。独ミュンヘン・オフィス勤務やBCGジャパンのデジタル専門組織立ち上げなどを経験。近年は保険グループのグローバルリーダーとして、保険・金融業界のデジタルトランスフォーメーションに集中的に取り組む。

二見 生成AIの活用に限らず、DXを推進するには「攻め」と「守り」が非常に重要です。

 私たちで言えば、守りの方は、生命保険会社としての責任を全うできる安定的なシステム稼働の実現や、盤石なセキュリティー体制、AIガバナンスの整備を指します。つまり「金融機関としてのトラスト」を確実なものにするということです。

高部 そうですね。生成AIのシステムをどうセキュアに作るかというインフラ整備と、アフラックの独自データや個人情報の“使用基準”の設定が必要です。

二見 はい。安全なシステム環境の構築はもちろん、システムを正しく使い、情報漏えいなどを防ぐための、ガイドラインの策定や社員教育などにも力を入れています。

 一方、企業として生成AIの活用を進める以上は、効果をしっかりと出せるような攻めの仕組みの構築も重要になります。だからこそ私たちは、各部門の業務の進め方を踏まえ、費用対効果が大きく出そうな部分をターゲットに据えて、生成AIの活用を戦略的に進めることにこだわりました。

──具体的に、どんな業務への活用に特化したのですか。

二見 現在は、三つの業務サポート機能があります。一つ目は、日常業務における社内情報の検索や資料の要約などのサポートを行う「業務アシスト」です。対象ユーザーは全社員ですが、特に監査部門やコーポレート部門で積極的に利用されています。

 二つ目は、マーケティングやプロモーションに関する資料の作成、提案話法の確認などをサポートする「営業活動アシスト」です。営業・マーケティング部門向けのメニューでは、企画書のひな型・骨子の作成が可能です。

 そして三つ目は、代理店向けコールセンターである「アソシエイツサポートデスク」のオペレーター業務をサポートする「商品・事務問い合わせアシスト」です。代理店から問い合わせを受けたオペレーターが、問い合わせ内容に応じて約款や商品マニュアルなどを検索し、回答を作成することを支援します。

 この6月には一部代理店に対し、「代理店用生成AIチャット」の展開も始めていますし、将来的にはお客さま向けの生成AIサービスもご提供したいと考えています。こうした私たちの構想の実現を目指し、BCGと各種施策に取り組んでいます。

──BCGはどんな支援を行っていったのですか。