発明への生成AIの利用には
チャンスと脅威の両方がある

 これからは「発明」という行為にも生成AIの利用が進んでいくことが予想される。すでに、AIを発明者として記載して各国の特許庁に特許出願がされた事例もある。こうした状況を受け、現在、各国の特許庁は、AIによる発明やAIによる支援を受けて行われた発明の取り扱いについて議論を行っている。

「生成AIを利用して発明を行うことは今後増えていくかもしれませんが、そうした場面での生成AIの利用には注意が必要です。例えば、米国特許商標庁は24年2月に、AIによる支援を受けた発明の発明者認定ガイダンスを公表しました。ガイダンスでは、発明創作過程でAIを利用したことを以て発明者となることが否定されないことが示されましたが、一方で、AIがそのほとんどの創作を行ったような発明、すなわち、自然人による顕著な貢献がない発明についてはその自然人が発明者となることが否定されることが示されました。企業としては、自社が思わぬ不利益を被らないよう、最新の情報に基づいて、社内における生成AIの利用方法について適切な対応を行う必要があるでしょう」(飯塚執行理事)

“生成AIは無責任な第三者”か。リスクを理解してチャンスにつなげる生成AI時代の知的財産戦略

「生成AIを活用して発明等が行われるようになると、企業にはチャンスと脅威の両方が訪れる」と飯塚執行理事は言う。「生成AIを上手に活用してこれまでよりも効率的に発明等を生み出す企業が出てくるでしょう。そうした企業にとっては、積極的な知的財産権の取得を通じて、有利にビジネスを展開することができるという意味で、チャンスが増えるでしょう。しかしそれは、同時に、他社にとってもチャンスが増えるということです。他社の知的財産権という脅威にも十分な注意が必要となるでしょう」

「弁理士は知財の専門家であり、生成AIの特許出願に関しても詳しい情報を持っています。知的財産を有効に活用するためにも、ぜひわれわれ弁理士に相談していただきたいと思います」(高橋元委員長)

 生成AIに関するルールメーキングは日々進化している。最新情報を取得することを含め、生成AIを活用してビジネスを展開するならば、知的財産の専門家と一緒に戦略を練ることが得策ではないだろうか。

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