新ホームアリーナの開業は
千葉ジェッツの成長の“起爆剤”
――しかし、スポーツビジネスは奥が深いんですね。強い選手をそろえたからといって、万事うまくいくわけではないと。
田村 千葉ジェッツは15年の富樫勇樹選手の加入でチームが強化されましたが、17~19年の天皇杯3連覇といった“ミラクル”は、良い関係性を築いたファンの存在があったからこそ起きたのだと思っています。ファンの応援に後押しされ、勝率が上がるといったプラスの面が確実にあります。
島田 千葉ジェッツさんは、地域振興をフックにして、そうしたコアなファンを獲得しようという思いが強いですよね。
田村 はい。「自分たちの街のチームを一緒に応援しよう」という熱量を生み出すことがスポーツビジネスを成功させるための鍵だと思っているので、地域を活性化させるための取り組みはいろいろ行っています。学校にバスケットボールやチアダンスを教えに行くこともあれば、子どもや地域の人たちに無料で食事を提供する「子ども食堂」の展開や支援をすることもあります。
島田 われわれも24年3月、千葉ジェッツさんの社会貢献活動に賛同し、「ふなばし子ども食堂ネットワーク」への寄付を行いました。このような活動は単独ではなかなかできないので、機会を頂けてありがたいです。
――2024-25シーズンから、JR南船橋駅から徒歩6分で行ける、ららアリーナ 東京ベイを新たなホームアリーナとして使用します。どんな効果が出そうですか。
田村 ららアリーナは、収容客数が1万人超と、これまでのアリーナ(収容客数約4700人)に比べて2倍以上になります。しかも、昇降可能な約423インチのセンタービジョンや、食事を楽しみながら観戦できるVIPルームを設けるなど、新たな観戦体験を提供する準備もある。ららぽーとTOKYO-BAYが隣接しているので、買い物ついでの観戦も可能です。
こうした魅力をうまく訴求し、チケット単価をキープしつつアリーナを満席にできれば、チケット売り上げは従来比2倍になる。入場者数が増えれば、飲食やグッズの販売増も期待することができます。
ビジネスの規模が大きくなると、経営の打ち手の選択肢が広がっていいですよね。渡邊選手の獲得に大きく動けたのも、ららアリーナ開業による収益増加を見越せたからでした。今後も新アリーナを“起爆剤”とするさまざまな施策を講じ、地域、ひいては海外の皆さんにも愛される、100年以上続くクラブにしていきたいです。
――まずは2024-25シーズンの国内タイトル全制覇ですね。
島田 待ち遠しいです。勝ちを重ねてほしいですね。
田村 初戦は10月5日。勝利をつかみ、日本電技さんとも一緒に喜びを分かち合っていきたいです。