自動車のデジタル化に
対応した開発に注力

 クレスコが手掛けているシステムは、私たちがよく利用している製品に搭載されている。例えば宅配便の追跡システムや、航空会社の決済システム、銀行など金融系のバックオフィスの情報管理システムなど。また、近年力を入れているのは、自動車向けのシステム開発だ。

 冨永宏社長は、「自動車のデジタル化が進み、搭載される機能も複雑になっています。メーカーからは、ソフトウェア開発だけでなくシステムのアーキテクチャーから検討してほしいという要望があり、当社ではセキュリティーのコンサルティングから、システム設計、ソフトウェア開発、製品評価までのサービスを提供しています。24年2月には“次世代自動車関連技術研究の支援・促進”を目的に、名古屋大学に寄付を行って『クレスコSDV(※)研究室』を設立、出向社員も参加しています。自動車業界向けのシステム開発に長く関わる中で、自動車産業そのものへ貢献したいという思いがあります」と説明する。

 また同年7月には、組織の持続的な成長とイノベーションを強化するため「生成AIビジネス変革研究室」を設立。最新のAI技術に関する研究活動を行いながら、開発業務の効率化と、将来の展開を見据えた戦略的な取り組みの基盤を築いている。

 事業の展開では海外にも目を向けている。クレスコは以前からFE(フォーラムエンジニアリング)社の人材サービス「コグナビ」のシステム開発に参画していたが、FE社のグローバル展開を目的としたインド法人へ資本出資。その関係で24年度、インドでトップクラスの情報系私立大学SRMの新卒学生を4人採用した。

「海外での事業展開は創業時からテーマとしてありました。これまで顧客の海外進出に合わせた短期の案件はあったのですが、海外展開はまだ本格化していません。グローバル志向の若手社員も増えてきているため、今後は海外での事業のチャンスも与えていきたい。海外人材の採用は、グローバル化への第一歩だと考えています」(冨永社長)

注 ※SDV=Software Defined Vehicle:車と外部との双方向通信機能を使って車を制御するソフトウェアが搭載された自動車