病院やホテルで、患者やゲストを心地よく迎えてくれる清潔なシーツやタオル。多くの人が当たり前のように享受する快適なサービスを途切れることなく提供し、業界を支えているのが、リネンサプライ大手のワタキューセイモアだ。
村田清和 代表取締役社長
京都に本社を置くワタキューセイモアは、明治5年に創業した製綿所を原点として、150年以上の歴史を持つ老舗企業だ。
1962年に、病院向けに寝具類をメンテナンス付きでリースする「リネンサプライ」のビジネスモデルを構築。今では中核企業5社を中心に、全国に数多くの拠点を有する企業グループに成長。この間、事業領域も大きく拡大した。60年以上の実績を持つ寝具リースはもちろん、給食の提供、医療機器や福祉用具の販売やレンタル、さらには人材サービスや総合建設業まで、医療・福祉業界をソフト・ハード両面から下支えするサービスをきめ細かく展開しているのだ。グループ売り上げ約6500億円、10万人以上の従業員を抱えるまでになっている。
同社のリネンサプライ事業は、医療機関などに寝具などのリネン類を届け、使用済みのものを回収し、自社工場で洗濯・消毒して再び届ける──というサイクルを途切れることなく回し続けるものだ。高い衛生基準を満たしつつ、生産管理面でも高いマネジメント力が求められるビジネスといえる。
このモデルは、ホテル業界向けにも応用されている。同社では、シーツやタオルのリースはもちろん、客室のアメニティーのマネジメントまでトータルでサービス化。ラグジュアリーな顧客体験の創造やブランディングの一翼を担う存在となっている。
「私たちの仕事は、決して華やかなものではありませんが、地域社会の健康や快適を支えるために欠かせないものと自負しています。これからも、当たり前のサービスを、当たり前に提供し続けていくことが、私たちの使命と考えています」と村田清和社長は話す。