日本には補聴器が
普及する土壌がある
それなのに、日本の補聴器の普及率は低い。先の調査報告によると、2022年時点で普及率は、デンマーク55%、英国53%、フランス46%と5割前後に達しているが、日本は15%にとどまる。そこには補聴器に対する心理的ハードルの高さがありそうだが、平松社長は「日本こそ100%を狙える土壌がある」と力を込めて話す。
「真面目にリハビリに励む国民性、国民皆保険制度、医療体制といった補聴器が普及する条件がそろっています。私たちはリーディングカンパニーとして補聴器の有用性を訴え、単なる聞こえを改善する機器ではなく、音楽も聴けるウエアラブルデバイスの機能なども入れ、“補聴器はシニアのもの”というイメージを変えて、普及率100%を狙います」
普及のためのシステムづくりにも着手していると平松社長。「補聴器相談などあらゆるデータを蓄積・分析して、難しい補聴器の調整を『標準治療』のような簡易で確実なものに変えていく方法を構築しているところです。過疎地域への補聴器の普及も課題となっており、サブスクという手段も絡めながら、補聴器の流通革命を起こしていきたいと考えています」。
マキチエは25年に創業80周年を迎える。「20年後の100周年までには、『聞こえ』が悪いと感じたら病院で補聴器の相談をすることが当たり前という世界をつくりたい」。未来を向いてそう話す平松社長の、決意は固い。