割安価格で買えるオーナーチェンジ物件はダブルゲインが狙える

 オールジャンル投資家の天間友弘氏は、「投資のことなら何時間でも話せる」という本格的な投資家だが、数ある投資商品の中でも「不動産投資、それもファミリータイプマンション投資は特に楽しい」と目を輝かせる。

 楽しさの源は、物件調査と金融機関の開拓にある。

「購入候補物件がどんな立地にあって、周辺には幼稚園・保育園・小学校があるのか。駅までのルートには立ち寄りたくなる商店や飲食店があるのか。駅周辺の再開発計画はあるのか。目で見ないと分からないことも多いから実際に行って調べます」

 融資を受けるためには金融機関との交渉が不可欠だが、「金融機関に断られることは珍しくない」と言う。それでも、「貸してくれる銀行を探すのはゲームみたいなものです」と天間さんは前向きだ。

 さらに、天間氏は、ファミリータイプマンション投資の面白さを、田端氏も注目した “二重価格”にあると話す。

インフレ転換した今だからこそ、「買いたくても買えない物件」を狙う。2人の投資家が選んだ「オーナーチェンジ物件」投資の魅力オールジャンル投資家
天間友弘
投資歴25年の投資家。IPO、株式、債券、不動産、暗号資産、ヘッジファンドなど、幅広い分野で理論的なポートフォリオ運用を実践。 会社員時代に人生逆転のため23歳から金融・投資の勉強を始め、2016年にFIRE (Financial Independence, Retire Early/経済的に自立した早期リタイア)を達成。オンラインサロン『てんてんらぼ』を主宰し、投資ノウハウを提供。

 多くの人は、ファミリータイプのマンションを住むために買う。このとき提示される価格は、実需価格だ。一方、オーナーチェンジ物件は、入居者が住んでいるので家賃収入は入ってくるが、入居者が退去しない限りオーナー自身が使うことができないので、実需価格よりも低い価格で売り出されることが多い。

「その差があるから割安で買うことができるのです。入居者さんが住んでいる間は家賃というインカムゲインを得て、退去したらリフォームして実需価格で売りに出してキャピタルゲインを得ることができます。一般のマンション投資では空室はリスクですが、ファミリータイプマンション投資では売却益を得るチャンスになるのです」

 ダブルゲインが狙えるから、オーナーチェンジ物件投資は「ミドルリスク・ハイリターン」といえるのだ。

 とはいうものの、同一の物件に二つの価格が付いているわけではない。天間氏は、どのような方法で割安かどうかを判断するのだろうか。

「収益還元法と取引事例比較法を使っています。収益還元法とは、物件が将来どれくらいの利益を上げられるかを計算して価格を算出する方法。取引事例比較法は、条件が近い近隣の類似物件の事例から価格を算出する方法。ざっくりこの辺かなっていう値段が分かるので、グッドライフの営業担当者にはそれより3割、4割安い物件を紹介してほしいと頼んでいます」

 天間氏は、エリアごとのおおよその相場が頭の中に入っているので、「マイソク」(物件の概要・間取り図・契約情報などの図面)が送られてくると、利回りは気にせず、交通欄の路線と最寄り駅、徒歩所要時間を見る。徒歩所要時間は10分を超えない範囲で駅近ほど良い。天間氏が保有する物件の7割は、駅から徒歩3分以内。これには納得の理由がある。

「円の半径が2倍になると、面積は4倍になります。駅から物件までの直線距離が長くなるほど面積が増えて、競合する物件が多くなる。そこで駅近であるほど希少性が高く、賃貸に出すときもすぐに入居者が決まるし、売るときに売りやすいのです。良い物件があれば詳細資料を請求し、大規模修繕履歴と修繕積立金残高などを見て購入の判断をします」

 これが、天間氏がマンション投資で高収益を得るための秘訣(ひけつ)だが、課題は優良物件の情報入手にある。