県外企業立地件数、
工場立地件数で全国1位

 企業が事業拠点の新設や移転を考えるとき、重要になるのは立地環境である。その点で首都圏に隣接する茨城県は、さまざまな点で日本でも有数の候補地となる。

 2024年度の「茨城の産業イメージアップ事業(マーケティング調査)調査報告書」(東京商工リサーチ)によると、事業拠点としての茨城県のイメージは、「都心近くの良好なロケーションである」(31.6%)、「常磐道・圏央道等の交通インフラが整っている」(30.3%)、「全国有数の産業集積地である」(26.4%)という項目の割合が高い。

 また、事業拠点の新設や移転を検討する場合、重視する項目として「本社・自社拠点との近接性・アクセス」「市場や取引企業への近接性」「電車・高速道路・港湾等の交通網の利便性」を挙げる企業が多いが、茨城県はどの項目も高いレベルで満たしているといえる。

「2023年工場立地動向調査」(経済産業省)によると、県外企業立地件数は47件で全国1位、工場立地件数は75件で全国1位、工業立地面積は165ヘクタールで全国2位となっている。なぜ茨城県が事業拠点や工場立地においてこれほどの人気を集めているのだろうか。

 まずマーケティング調査への回答にもあるように、大都市圏に近い立地条件の良さがある。交通インフラに関しては圏央道の県内全区間の4車線化が予定され、グローバル展開の拠点となる茨城港・鹿島港という重要港湾があり、茨城空港や成田国際空港へのアクセスも良い。

 安価な用地価格も評価を上げるポイントだ。国土交通省の都道府県別・用途別平均価格によると、「工業地」の24年平均価格は1平方メートル当たり2万2400円。同じ圏央道が通る千葉県(同9万700円)や埼玉県(同7万2700円)と比較すると優位性が際立っている。

 さらに企業立地のための独自の優遇制度の充実もある。前述したように、県では企業の本社機能や、成長が期待できる半導体や次世代自動車などの関連企業の誘致が重要であると考え、設備投資等に対する補助として「本社機能移転強化促進補助」(本社機能の県外からの移転整備に対する補助)や「次世代産業集積・カーボンニュートラル強化プロジェクト事業補助」(生産拠点の整備に対する補助)の優遇制度を設けている。

※1 経済産業省「2023年(1月~12月)工場立地動向調査」 ※2 東京商工リサーチ「令和6年度 茨城の産業イメージアップ事業(マーケティング調査)調査報告書」