半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進する東京大学発の宇宙関連ベンチャー企業であるPale Blueはつくば市に研究開発拠点を新設

本社機能や研究開発
拠点の立地が進む

 こうした環境の整備を背景に、茨城県では近年大型の立地案件が続いている。約20年ぶりに県が開発した工業団地「圏央道インターパークつくばみらい」には、食料品製造大手である日清食品が同社の国内最大規模の生産能力を有する製造工場の建設を決定、ダイキン工業も東日本初となるエアコンの生産拠点と研究開発拠点の新設を決めた。

半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進するダイキン工業はエアコンの生産拠点を圏央道インターパークつくばみらいに新設

 本社機能の誘致に関しては、建設機械業界で世界有数の日立建機が、研究開発機能強化のため、同社土浦工場内にエンジニアリング棟を新設し県内外の研究開発拠点を集約。欧州発の大手コンサルティング企業のキャップジェミニは、つくば市のオフィスビルに都心以外では初めてとなる拠点の立地を決定。また持続可能な宇宙開発に取り組む東京大学発のベンチャー企業であるPale Blueが、研究開発拠点をつくば市内に立地することを決定した。

 このように企業の立地ニーズが増加しているため、茨城県では圏央道へのアクセスに優れた「フロンティアパーク坂東」の開発と分譲を進めるほか、「未来産業基盤強化プロジェクト」を立ち上げ、市町村の産業用地の開発推進の支援にも取り組んでいる。

高度外国人材の
確保を支援

半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進する高度外国人材を確保するため、2024年7月に大井川知事がインドのアミティ大学を訪問して協力覚書を締結、RV大学では相互協力に関する共同声明を発出した

 茨城県は人材確保支援にも力を入れている。もともとつくば市の筑波大学には世界中から優秀な人材が集まり、多くのベンチャー企業の誕生とともに、企業との共同研究など産学連携も活発に行われてきた。また県内には情報・工学系の教育機関が充実しており、23年度には「県立つくばサイエンス高校」「県立IT未来高校」を開設。

 新たに立地する企業の採用担当者と高校などの進路指導担当者とのマッチングを支援するほか、新卒者・中途採用者向けの面接会や、茨城県内で働ける人気企業を集めた「チャレンジいばらき業界研究会」などを運営している。

 そして近年力を入れているのが、外国人材とのマッチング支援。外国人留学生の採用に関心のある茨城県内の事業所を対象に、インターンシップの受け入れを支援するほか、ITや語学などに優れた能力を持つ若い人材が豊富なインドに着目し、茨城県が現地のアミティ大学やRV大学と協力関係を構築、関心がある企業向けに現地視察ツアーを実施する。

半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進する茨城県では定期的に「いばらき産業立地セミナーin 東京」を開催。大井川知事自らトップセールスを行っている(写真左下が知事)

 また首都圏の企業に優れた立地環境を理解してもらうため、「いばらき産業立地セミナーin 東京」を定期的に開催、毎回多くの企業が参加し活況を呈している。他に類を見ないさまざまなメリットを持つ茨城県の企業立地。大井川和彦知事の積極的なトップセールスもあり、県外企業からの注目度はますます高まっている。