企業立地事例1:日立建機
開発部門を集約した施設を建設
半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進する日立建機
モノづくり責任者、
生産・調達本部長
成川嘉啓執行役常務

 日立建機は、2017年より製品のクラス(コンパクト、コンストラクション、マイニング)ごとに開発と生産の機能を集約する国内拠点の再編を行っており、最終フェーズに入っている。土浦工場はマザー工場の位置付けで、中型油圧ショベルなど建設機械本体や重要部品の生産および技術開発を行っている。成川嘉啓執行役常務は拠点再編により土浦工場には、「油圧ショベルおよびダンプトラックに加えて、新たにホイールローダの開発機能を移管し、次世代の製品に向けて開発機能を集約しました」と話す。


 拠点集約に伴い土浦工場に新設されたのが、研究開発部門を集約し、従業員がこれまで以上に働きやすい職場環境とコミュニケーションの活性化を実現する「Orange Innovation Plaza(オレンジイノベーションプラザ)」。県は「本社機能移転強化促進補助金」により集約を支援した。この補助金に対し成川執行役常務は、「投資予算が膨大となる中、地元である茨城県から助成を頂けることは、大変ありがたいことでした」と感謝の意を表す。その2年前には経理や総務など間接部門向けの事務管理棟が完成。「今後も新卒や経験者採用を計画しているため雇用の創出にもつながると考えています」。地元の調達パートナーとの取引も増えれば地域経済への波及効果の可能性もあり、「これからも茨城県の発展とともに日立建機も成長していきたい」と成川執行役常務は抱負を語る。

半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進する働きやすい職場環境を実現した「Orange Innovation Plaza」
企業立地事例2:レゾナック
半導体材料の研磨材工場を新設
半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進するレゾナック
最高製造関係業務・技術責任者(CMEO)
最高品質保証責任者(CQO)
新保尚文執行役員(右)
エレクトロニクス事業本部 事業戦略部
畠田真弓部長※(左)

 レゾナックは2023年1月、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧・日立化成)が統合、世界トップクラスの機能性化学メーカーを目指す「共創型化学会社として誕生した」と新保尚文執行役員は説明する。同社の事業は半導体・電子材料セグメント、モビリティセグメント、ケミカルセグメントなどがあるが、その中でも注力しているのが半導体製造の前工程・後工程を幅広くカバーする半導体・電子材料セグメントだ。


 茨城県ひたちなか市の山崎事業所勝田サイトに建設した半導体用研磨材料の新工場(第6工場)は、県の「次世代産業集積・カーボンニュートラル強化プロジェクト事業補助金」の支援を受ける予定である。新工場で主に生産するのはCMPスラリーと呼ばれる半導体集積回路の平坦化用研磨材料。同社が製造するCMPスラリーは世界でも高いシェアを持つが、その中でも「高研磨速度と研磨平坦性を両立させる先端技術を用いたセリアスラリーは、研磨傷を低減できる点が評価され世界シェアはトップクラス」(エレクトロニクス事業本部事業戦略部・畠田真弓部長)だという。


 同社の拠点は全国に広がるが、茨城県に新工場を建設した理由は、県が企業を支援する豊富なノウハウと制度を持つところにある。同社はこの地で事業を展開し、県の雇用を担うだけでなく、「世界に通用する人材を輩出する会社になる」(新保執行役員)ことを目指す。その挑戦が今、始まった。     ※肩書は取材当時のもの。

半導体や次世代自動車など先端産業の誘致を推進する山崎事業所勝田サイトに建設した半導体用研磨材料CMPスラリーの製造工場
●問い合わせ先
茨城県立地推進部立地推進課
〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978-6
TEL:029-301-2036
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E-mail:ritchisuishin@pref.ibaraki.lg.jp
文部科学省電源地域産業育成支援補助金充当事業