米マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「ジェボンズのパラドックス」と呼ばれる現象を強調した。資源の利用効率を高めても、全体的な消費量は減るどころか、むしろ増加することが多いという逆説だ。AIが安価になれば、これまで価格面で手が届かず、AI革命に加われなかった産業や端末にも応用が広がり、全体的な半導体需要を押し上げる可能性がある。
27日の株価急落の中、アップル株が3%高と逆行したことはこれを物語っている。もしAIモデルが効率性を高めてスマートフォンで魅力的な機能を持つようになれば、AI導入が広がり、消費者向け端末の需要も拡大することもあり得る。
そう考えると、TSMCなどの株価急落はチャンスと言えるかもしれない。確かにTSMCは現在の最先端AIモデルに使われる高性能半導体を製造しており、需要の変化によって圧力を受ける可能性がある。その一方で、世界最大の半導体受託生産企業である同社は、AIとの距離が縮まれば、電子機器や半導体の成長によって恩恵を受けるべき好位置につけている。
TSMCの12カ月先予想PER(株価収益率)は21倍付近と、エヌビディアの依然として高水準の40倍に比べると妥当な水準だ。AIが高性能路線を続けるにせよ、汎用(はんよう)化するにせよ、勝利できる態勢の企業としては、現在のバリュエーションは魅力的に映る。
市場がパニックの時こそ、「真の勝者」は往々にして霧が晴れて初めて姿を現すことを覚えておく価値はある。
(The Wall Street Journal/Jacky Wong)
※この記事はWSJにて2025年1月29日 11:52 JSTに配信されたものです。




