ドナルド・トランプ米大統領が第2次政権で関税をさらに積極的に活用する構えを見せる中、米連邦準備制度理事会(FRB)は重要な疑問に直面している。物価上昇は、一般市民が予想するインフレ率をどの程度押し上げるのかということだ。
FRBは29日まで2日間開催する連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利を据え置くとの見方が大勢となっている。直近3回の会合で政策金利の誘導目標を合計で1ポイント引き下げたが、利下げは一時休止するとみられる。
昨年9月にFRBが利下げに踏み切って以降、インフレ率はFRBが目標とする2%に向けて一進一退を続けている。一方、労働市場は堅調に拡大しており、昨年夏に高まった急減速への懸念は払拭されている。
FRBが再び利下げを実施するかどうか、またその時期はインフレ見通しに大きく左右される。そしてインフレ見通しは今年、トランプ氏が関税引き上げの脅しを実行に移すかどうかが鍵を握るかもしれない。同氏は先週、カナダとメキシコからの輸入品に2月1日までに関税を課すことを検討していると述べた。
関税を巡っては企業や消費者が予想するインフレ率にどのような影響を与えるかについて懸念があり、FRBの見通しにおける大きな不透明要因(ワイルドカード)となっている。
トランプ氏が第1次政権で貿易戦争を激化させた2019年、FRBは利下げで対応したという経緯がある。ジェローム・パウエル議長らFRB当局者が懸念していたのは、貿易戦争がもたらす企業心理と投資への打撃が、関税による物価上昇の潜在的影響を上回る可能性だった。