総予測2025#105Photo:Chris Unger/gettyimages

2024年の米大統領選挙で当選した共和党のドナルド・トランプ氏が大統領に就任した。今回の大統領選では、イーロン・マスク氏などのシリコンバレーの実業家たちがトランプ氏支持を表明したことが話題に。マスク氏はトランプ氏に「政府効率化省」のトップに指名されるなど、大きな注目を集めている人物だ。この組織を通じて、マスク氏が25年に成し遂げたいこととは。特集『総予測2025』の本稿では、米国の保守思想に詳しい神戸大学大学院・井上弘貴教授に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

トランプ支持に民主党への反発
マスク氏がトランプ氏を支持する理由

――2024年の米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が当選しました。根強いトランプ支持の理由は。

 トランプ氏が有罪判決を受けた点を、多くの有権者が問題ないと考えていることが今回の選挙でよく分かりました。彼が起訴されていることは重要ではなく、米国にはより重大な問題があると考える人が多いのだと思います。

 常に急いで世の中の価値観を変えていきたいという民主党に対して、付いていけない、もっと言えば反発をする人が、文化保守の考え方に共感しているのです。

――文化保守とはなんですか。

 文化保守というのは、社会正義を重視する人々、通称「ウォーク(Woke)」がこれ以上社会を変えるのを止めたいという考え方です。彼らが今、米国で新しい保守を形成しています。

――今回の選挙はイーロン・マスク氏の動きが注目されました。なぜマスク氏はトランプ支持なのでしょうか。

「自由の国アメリカ」から、なぜ文化保守のような不満が生まれるのか。実はこれが大事な視点です。

なぜマスク氏はトランプ氏を支持するのか。そしてマスク氏が「政府効率化省」のトップとして25年に成し遂げたいこととは何か。次ページで井上教授が語る。