中国の人工知能(AI)スタートアップ企業が、絶好調だったハイテク株を急降下させた。中国ディープシーク(深度求索)の台頭で、業界に確立された秩序が混乱しているが、一部には新たな環境下で実際に成長する企業もあるはずだ。
27日の米株市場で起きたパニック売りは、AIという金脈を掘る「つるはしとシャベル」、すなわち必要な手段を提供している企業を直撃した。AIブームの中心的存在である高性能半導体を手がけるエヌビディアの株価は27日に17%下落。エヌビディアの半導体を受託生産する台湾積体電路製造(TSMC)も影響を免れず、同社の米国預託証券(ADR)は同日13%下落した。
投資家は、ディープシークが米オープンAIや米アルファベット傘下のグーグルと肩を並べるAIモデルを、大幅に低いコストで構築できると主張したことに驚かされた。ディープシークが主張通りに実行すれば、高価な半導体へのニーズが急減し、サプライチェーン(供給網)全体の足かせになりかねないとの懸念が広がった。
ディープシークは確かにブレークスルー(飛躍的な進歩)をいくつか達成し、それは最先端半導体へのアクセスが制限されていることが主な原動力となった。だが、高性能半導体への需要がまだ続くのではないかと考えるべき理由はある。その一つは、最先端のAIモデルがこれからも依然として入手可能な最速かつ最高性能の半導体を頼りにすることだ。