顧客に寄り添うためのドミナント出店戦略

 タウングループは現在、賃貸物件の仲介事業をメインとするタウンハウジングと、アパートやマンションの管理事業を主体とするアレップスの2社を中核に、全16社で構成されている。

 数字で見るとグループのすごさが分かる。タウンハウジングの店舗数は143店舗。賃貸仲介実績は7万0376件(2024年実績)、管理戸数は5万7042戸(25年1月時点)に上る。

「管理物件の稼働率98.5%」が裏付ける信頼。地域集中戦略でオーナーに寄り添うタウングループは、土地活用から建築・施工、入居者仲介、建物メンテナンス、リフォーム、不動産売買までを一手に担う
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 管理会社の優劣を表すバロメーターとして新田代表が重視している管理物件の稼働率は、なんと98・5%を達成。グループのリーシング力が利いていることはもちろんだが、リニューアル技術を向上させて工事期間を短縮するといった工夫も重ねている。

「空室期間はオーナーさまに賃貸料が入らないので、長くなるほど利益を損ねてしまいます。仲介会社の集客力を高めることはもちろん、管理やリニューアル工事などの総合力で臨まなければ稼働率を高めることはできません」(新田代表) 

 タウングループはオーナーの信頼に実績で応えている。

 タウンハウジングの店舗数は300店舗を目指して拡大を続けるが、全国に点在させることはせず、一つの地域に集中して出店するドミナント戦略によって優位性を高めている。その理由を、「オーナーさまの物件の近くにスタッフがいれば、トラブルなどが起こったときに即座に対応できるから」と新田代表は語る。

 仲介契約・管理契約の解約をゼロに近づけるためには、オーナーのすぐ近くにいることが必要。新田代表はそう信じて出店場所を厳選している。入居者の立場でも近くに相談相手がいることは心強い。

 また、オーナーの大切な物件に空室を生じさせないため、繁忙期が一段落する6月と、春先の次に繁忙期ともいえる9月に「みなづきキャンペーン」と「ながつきキャンペーン」を実施。入居希望者に多くの特典を提供することで空室を埋め、オーナーの利益を守る。キャンペーンのスタート前にはキックオフイベントを実施し、社員の一体感を高めて客付け力のアップを図る。結果、6月、9月の成績が春先の繁忙期を上回ることもあるという。