しっかり管理しても
建物の“終活”は必要

 築浅マンションであっても、建替えは決して人ごとではないと、花房副所長は指摘する。

「どんなマンションでも“終活”を考えなければならない時は必ず来ます。いざ建替えの検討を始めたときに、課題が多過ぎて建替えが難しいとなるケースは少なくありません。長期修繕計画の作成と併せて、できるだけ早いうちから『マンションじまい』のイメージを区分所有者全員で共有しておくべきだと考えます。建替えが可能だという見込みがあれば何十年後かの建替えを想定した上で逆算して修繕計画を立て、建替えが難しそうであれば長寿命化を図るという観点で修繕計画を立てればよいのです」

アトラス御影山手(兵庫県神戸市)
2024年8月竣工・70戸(非分譲住戸12戸を含む)

高経年マンションの建替えは「再取得」と「転出」を考える時代1972年竣工の「御影石野住宅」(住宅50戸)の等価交換方式による建替え。耐震性能が低く建物の老朽化の進行が著しい他、エレベーターがなく、専有部分やエントランスなどのバリアフリーに課題があった。住居環境、防火・避難安全性にも改善が必要な状況で、大規模修繕も検討したが、建物の維持・補修に相当な費用が発生することから建替えを選択。賃貸住戸の一部借家人の退去に難航した

 つまり建替え時期が迫っていなくても、建替えに関する知識の必要性は高いということだ。築浅マンションでも建替えについての相談ができるのが、豊富な知識と経験を持つ同研究所である。高経年マンションの再生を通じて持続可能な街づくりに貢献したとして「ジャパン・レジリエンス・アワード2024(※3)」最優秀賞を受賞した実績も持っている。

※3 レジリエンスジャパン推進協議会主催。次世代に向けたレジリエンス(強靱化)社会を構築するために、全国各地のレジリエンスに関する先進的な活動を発掘・評価し表彰するもの