廃食用油を活用する
サプライチェーンを構築
コスモ石油は20年ころから、日揮ホールディングス(HD)とレボインターナショナルとの共同でSAFの事業化の検討を進め、22年11月に3社で「合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイアスカイエナジー)」を設立。国内での廃食用油の収集から、SAFの製造、輸送・供給に至るサプライチェーンの構築に取り組んできた。原料調達は日揮HDとレボインターナショナルが、SAFの製造はサファイアスカイエナジーが、販売・供給はコスモエネルギーグループが担う。

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取り組みの特長は、原料となる廃食用油を100%国内で調達することにある。
「SAF供給の最大の課題は原料確保です。日本国内では年間50万トンの廃食用油が発生しており、飼料化などに有効活用されているものもある一方で、約12万トンは海外に輸出されています。その輸出分を国内に回帰させると同時に、国内の廃食用油を効率的に回収することで、安定供給を可能にする持続可能なビジネスモデルを確立しようと考えました」。こう話すのは、サファイアスカイエナジー最高執行責任者COOで日揮HD・SAF事業チームプログラムマネージャーの西村勇毅氏。
具体的には、飲食店や食品工場との提携によるBtoB回収や、サービスステーションや店舗の回収ボックスを利用した一般家庭からのBtoC回収である。また「SAFの市場拡大には、機運の醸成と、社会全体の意識改革が不可欠」(西村氏)との考えから、SAFで航空機が飛ぶ世界を実現するプロジェクト「FRY to FLY Project(使った油で空を飛ぶ!!)」を展開。現在約200の企業・団体が参加し、東京都などの自治体とも連携、消費者を巻き込んだムーブメントをつくり出しながら、原料回収とSAFの普及・拡大を進めている。
回収された廃食用油はプラントに運ばれ、高温・高圧で水素化、異性化処理することでニートSAF(純度100%のSAFジェット燃料)が製造され、製油所で化石燃料由来のジェット燃料とブレンドされる。国際基準では、50%以下の混合率で利用することが定められている。