国際認証を取得し
国内外の航空会社に供給

航空業界の脱炭素化を加速する、日本初の国産SAF(サフ)量産プラント誕生コスモ石油堺製油所内にあるSAF製造プラント。100%国産の廃食用油から年間3万キロリットルのSAFを生産する(提供:合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY)

 SAFの普及にとって、もう一つの課題は価格である。SAFは従来の燃料と比べて2~5倍のコストがかかる。「当社では、既存の製油所インフラを活用することで新規設備投資を抑制し、SAFのブレンド施設や貯蔵タンク、出荷設備などを既存の石油精製インフラと統合することで、コスト削減の努力を行っています。また価格差を埋めるため、カーボンクレジット(環境価値)を積極的に活用できる仕組みも整えています」(山本氏)。

 SAFの販売に関しては、取引品質の明確化が必要なことから、24年12月に持続可能な製品の国際的な認証制度である「ISCC CORSIA」や「ISCC EU」の認証を取得。JALやANAといった国内大手航空会社のほか、DHLなどの物流企業への供給を予定する。希少性のあるSAFは今、国際的に需要が供給を上回っていることから、航空会社の間で取り合いが起きている状況にある。「将来的には国際市場にも供給を広げ、日本発のSAF技術を世界に展開していきたい」と山本氏は話す。

 他社に先駆けて、国産SAFサプライチェーンを構築したコスモエネルギーグループ。今後は次世代技術の開発も推進しながら、航空業界の脱炭素化を実現する中心的な役割を担っていく考えだ。世界的な脱炭素の潮流の中で、日本発のSAFビジネスモデルはどこまで成長できるのか。その第一歩となる25年度からの本格運用に注目したい。

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